映画「お買い物中毒な私!」から、おしゃれな人は買い物依存症なの?

映画「お買いもの中毒な私!」は、2009年製作のラブコメディです。当時のアメリカの世相をよく現わしており、10年以上の時を経てもお買い物好きの人は「それ、私かも」と思える部分があります。
もちろん、お買いもの好きでなくてもアイラ・フィッシャー演じる主人公レベッカのカラフルな配色のファッションを見るだけでも十分楽しめます。
ファッションが好きでいつもおしゃれな人は、家計費の中でも被服費が突出している場合がありますが、それは果たして買い物依存症なのでしょうか?
この映画を通して、ファッション好きと、買い物依存症との違いについても考えてみましょう。

映画「お買いもの中毒な私!」の内容

ニューヨークが舞台のこの映画の主人公レベッカは、買い物が好きで洋服や靴やバッグなどをカードでつい買ってしまう癖があります。彼女はガーデニング雑誌の編集者ですが、いつか一流ファッション誌の記者になりたいと夢見ています。
レベッカは、ファッション誌の求人を見て応募しますが、すでに決まっていたため、経済雑誌の記者に応募します。経済についてはうとい彼女でしたが、編集長に独特の個性を気に入られて採用されることとなります。
経済の知識がない彼女の記事は、あまりにもありふれた内容であることから度々却下されるのですが、借金に悩む自身の心情を原稿にすることで編集長に受け、意外な展開でチャンスをつかんでいきます。
買い物による返済金を稼ぐために就職したものの、レベッカは相変わらず買い物を繰り返し、請求書の山の中で、支払い催促の電話にいつも悩まされる状態が続きます。しかし、コミカルなタッチで映画が進行するため悲壮感はありません。

出典元:http://self-satisfaction-mitsunwel.blog.jp/archives/51830190.html

「ご褒美」と言っては買い物をし、仕事がうまくいかなかったり、人間関係に疲れると「気分転換」と買い物をする女性の心理に共感を覚える方も多いのではないでしょうか。

パトリシア・フィールドによる衣装のコーディネート

パトリシア・フィールドは、映画「セックスレス・アンド・ザ・シティ」や「プラダを着た悪魔」の衣装を担当した有名なデザイナー&スタイリストですが、「お買いもの中毒な私!」でもスタイリングを手がけています。
この映画に登場するすべての衣装を、パトリシア・フィールドが作っていますが、テイストミックスなスタイリングが得意のパトリシアならではのセレクトが注目されています。
映画に登場する有名ブランドは、プラダ、グッチ、アレキサンダーマックイーン、ランバン、ルイヴィトン、キャサリンマランドリーノ、バレンシアガ、クリスチャンルブタン、エミリオプッチ、ミュウミュウなどの憧れのブランドが勢揃いです。

テイストミックスなスタイリングとは?

パトリシア・フィールドが得意なテイストミックスなスタイリングとは、様々な要素をミックスしたスタイリングのことです。

 

出典元:https://sumally.com/p/1267590

例えば、きれいめのブラウスにカジュアルなデニムを組み合わせたり、クール系のシャツブラウスにフェミニンなプリーツスカートを組み合わせるなど、異なるテイストを組み合わせた意外性のあるスタイリングをいいます。

スタイリングとコーディネートはどう違うの?

ここで少し話は変わりますが、スタイリングとコーディネートの違いについてお伝えします。
スタイリングとはスタイルを形づくることで、コーディネートとは、洋服やバッグ、小物を選んでトータルで組み合わせることです。スタイリングでは、その人に似合うようにアレンジをして、その人の魅力を最大限に引き出します。

例えば同じワンピースでも高身長の人が着ればハイウエストになり、低身長の人が着ればローウエストになります。モデルさんやマネキンが着ている同じ服も、着る人によって雰囲気が違ってきます。最近の服のほとんどは袖が長く仕立てられていますが、腕が短い人がシャツガーターを付けると少年のようなかわいさが出ます。
また、パンツは穿いたときに足首が見えるアンクルパンツが定番となりつつありますが、靴下の色使いやスニーカーなどを一工夫すると垢ぬけて見えます。普通の人はスタイリングをしてもらう機会があまりありませんが、ネットやファッション雑誌などで研究し、手持ちの服をあれこれ着てみて、自分にピッタリなスタイリングを見つけましょう。

スタイリング上手になることは難しい

コーディネートが完璧でも、実際に着てみるとイメージ通りではなかったことはありませんか?外出する前の日にハンガーに吊るして準備をしていたものの、当日に着てみるとイメージ通りではなく焦ったことが一度はあると思います。そのため、コーディネートだけではなく、実際にスタイリングしておくことも大事です。
ベルトを足してブラウジングしたり、ワンピの下にパンツを合わせるなど事前に着てみることで、こなれた装いが完成します。スタイリングを習慣づけることで、どんなシーンにも素敵な自分を演出することができます。

キーアイテムであるグリーンスカーフ

出典元:https://ameblo.jp/one111/image-10436205051-10378803919.html

スタイリング後、いま一つ何か足りないと思った時におすすめしたいのが、「お買いもの中毒な私!」の主人公のレベッカが、編集部の面接を受ける際に購入した緑色のスカーフです。このグリーンスカーフは物語のキーワードとなります。
映画の後半では、所有するブランド品を処分するシーンがあります。ここでグリーンスカーフは300ドルで落札されることになりますが、落札したのはレベッカが心を寄せていたルークだったのです。

買い物依存症とファッション好きとの違い

おしゃれな服や靴バッグ、アクセサリーを買うことで、自分が別人になったような気分になることがあります。誰でも様々なストレスがあるものですが、買い物は手っ取り早い自己治療ともいえます。
借金をしない程度で、買った衣服などをうまく着こなして楽しむ場合は、ただのファッション好きなので、特に問題はありません。しかしレベッカのように買い物依存症になると、支払い能力を考えずにほしいものがあれば買ってしまいます。
買うという行動が脳内に快感をもたらし一時的にストレスを緩和することができるので、買い物の快感が我慢できず、経済的なことを考えずに買ってしまいます。

おしゃれ病とは

またおしゃれ病になると、まわりの人から「センスがいいですね」とか「おしゃれさんですね」と言われるので、いつもおしゃれでいないといけないといった気持ちになって、流行に敏感になります。
やがて「服を買う、着る、管理する」という一連の行為が苦しみに変わり、理想とするスタイリングができなければ、落ち込んでしまいます。センスがいい人とかおしゃれな人などの誉め言葉の多くは、社交辞令の一つなので、自分自身が心地よい装いをしているのが一番なのです。
「おしゃれでなければならない」といった呪文からのがれ、「心地よい装い」を目指すとおしゃれ病を克服することができるでしょう。

服は「着られるもの」ではなく、「着るもの」

きらびやかなファッションが数多く登場する映画「お買いもの中毒な私!」は、決して深刻な映画ではありません。しかし、何かとストレスの多い時代に生きる、私たちの心の闇の部分も描かれています。
本当におしゃれな人は、買い物依存症ではありません。洋服に着られるのではなく、常に洋服を着る「私」でいたいものです。