文化服装学院在学中にブランドを立ち上げた実力派デザイナー
森岡喜昭氏 参照:https://www.mensnonno.jp/post/206115/#shm-vp-1
森岡喜昭氏は、1985年東京生まれ。学生の頃から、そのセンスや実力が評価されていて、現在ではショップロゴやオリジナルプロダクトなど、グラフィックデザイナーとしての仕事もおこなっています。文化服装学院の在学中から自作のプリントTシャツを制作して、「タグス ワーキングパーティ プロダクションズ」というブランドを立ち上げるなど、積極的に挑戦していく姿勢が多くの評価につながっているようです。今回はアパレルだけにとどまらない、大いなる可能性を持ったデザイナー、森岡喜昭氏をご紹介します。
実家である、老舗の着物仕立て屋で培われたセンス
森岡氏の実家は、1883年、明治16年から続いている老舗の着物仕立て屋です。住み込みの職人さんなどもいたようで、忙しく、緊張感のある仕事場の雰囲気を肌で感じ、服をつくる「センス」が培われたといいます。そして、中学生、高校生として迎えた2000年代前半は、当時のトレンドの先端である「裏原宿」に通い大きな影響を受けています。
一見、正反対にも思える和服の世界と、トレンド最先端のカルチャーですが、森岡氏のなかでのベクトルは共に同じでした。幼少期から少年時代に経験した、これら多くの環境が、現在多方面で活躍するベースとなっていると言えるでしょう。
原点に戻り見つけたTシャツづくり
参照:https://www.houyhnhnm.jp/feature/395263/
両親には大学進学を勧められていた森岡氏ですが、「感覚的に合っているな」と思ったという、文化服装学院に進学をしました。学校に通い始めて、まず、思ったことが自分も含めた周囲の学生たちが、流行の洋服を着ていて似通った雰囲気だということでした。
そのとき、森岡氏が考えたのは、「デザインとは何か? カッコいいとはどういうことか?」という原点とも言うべきテーマだったのです。森岡氏は、考え抜いた結果かなり大胆な行動をおこないます。それは、「リセット」すること。「無地Tにジーンズ、足元はコンバースのオールスター。頭も坊主にして出家したんです(笑)」との言葉通り、シンプルな服装で考え続けました。
その頃に出会ったのが原宿にあった、伝説的なショップである「フィロソフィ・ストア」でした。さまざまなカルチャーを表現している本やCD、そして個性的なスーベニアTシャツが販売されていて、すぐに魅了されたと言います。
それからは、特に興味を惹かれたスーベニアTシャツ目当てにショップに通いながら、自作でプリントTシャツをつくり、販売。学校内でも大きな話題になり、自らのブランドである「タグス ワーキングパーティ プロダクションズ」を立ち上げたのです。
「反骨精神」「ポップアート」をテーマに多方面で活躍
参照:https://onsundays.shopselect.net/items/58229648
文化服装学院を卒業後、森岡氏はショップの内装やアパレルを手掛けている企業「M&M CUSTOM PERFORMANCE」へと就職します。その間、「タグス ワーキングパーティ プロダクションズ」での活動は、週末だけ行っていました。ただ、森岡氏のグラフィックデザインなどが徐々に話題となっていき、自由が丘にアトリエを構えることになったのです。
流行に流されないブランドのテーマ
参照:https://wear.jp/item/47076739/
松岡氏が掲げるテーマは「反骨精神」と「ポップアート」。若い頃の髪型はずっとモヒカンだったというほど、パンク好きで、根底に流れている、既成観念への反発が自らのデザインにも活かされているといいます。そして、ポップアートでは、偉大なアーティストであったアンディ・ウォーホルが大好きで、多大な影響を受けたと語っています。
「ただ奇抜というのではなく、流行に流されない考え方、独自の解釈の在り方というのはものづくりをするうえで大事なことだと思っています」と語る言葉は、松岡氏のデザインにとって、非常に重要なベースになっています。
アパレルからアートワーキングまで、多方面での活躍
2019年にはタグス トレードマーク(TAGS TRADMARK)というレーベルを設立して、アートワーキングを専門とする部門としました。「洋服だけでなく、パッケージやディスプレイも含めてブランドだという解釈があるので、世界観づくりにはずっと励んでいます」との言葉通り、さまざまなアイテムや、ショップでそれを見せる手法など、秀逸なセンスが発揮されています。その手法が評価され、ゴッホ美術館とのコラボレーションなど、多方面で活躍する機会が多くなっているようです。
「いろいろな角度からものを見たほうがいいということ。その上で自分がよいと思うものを選べばいいと思います。ブランドの理想としては枠にはまらず『それどこの?』と聞かれるような存在でありたい」と語る森岡氏。アパレルはもちろん、多方面でのアーティスティックな活躍が期待できるデザイナーと言えるでしょう。