流行を作り出したりビジネスモデルを生み出すファッション業界は、社会問題にもいちはやく敏感に反応します。
ジェンダーレスが叫ばれる世の中になりましたが、ファッション業界では性についての問題が注目される前からユニセックス、ジェンダーレスファッションを提案しているデザイナーがいて、男性女性の区別なく着られるアイテムや、従来のメンズ、ウィメンズに加えてユニセックスの3つのシルエットを取り扱っているブランドもあります。
今回は、ジェンダーレスファッションで注目されているブランドをご紹介します。
多くの人が気づいていなかったり気づかないふりをしてきたことに、デザインや生き方を通して「これって、おかしくない?」と声を上げてきたブランドばかりなので、ぜひ注目してみて下さいね。
69(シックスティーナイン)
出展:69
69(シックスティーナイン)は2011年にアメリカ ロサンジェルスで誕生したブランドです。
69のコンセプトは、国家、人種、性別、体型に関係なく着られる服を目指すというところにあります。
痩せている人、グラマーな人のどちらも着られるスーパーオーバーサイズのワンピース、男性・女性どちらも年齢に関係なく着られるジャンプスーツなど、ワクワクするようなファッションを提案しているんですよ。
69のさらに面白いところは、デザイナーの情報が一切公開されていないこと!
なんとデザイナーの正体はあえて一切未公開となっているんです。
その理由は、デザイナーをまるで神様のように扱う必要はなく、洋服を着る人が主役であるべきという信念があるから。
69が発表するファッションアイテムには、できる限りデザイナー個人の個性も含めないこととしています。
NORDA(ノルダ)
出展:NORDA
NORDA(ノルダ)は、デザイナーズブランドを取り扱っているセレクトショップのメンバーが立ち上げたユニセックスファッションを発信するブランドです。
ユニセックスがもはや標準と言って良いくらいのストリートファッションから、ストリートシーンにとらわれすぎない、より深堀したジェンダーレススタイルを提案しています。
サイズ展開は
U:ユニセックスサイズ
M:メンズサイズ
W:ウィメンズサイズ
の3種類になっています。
NORDAは「従来の洋服のサイズ展開に限定されない」「男女が同じワードローブを共有できる」「ひとクセありなアイテム」「新進気鋭」などのキーワードにピンとくる方におすすめ!
ilk ADAM ET ROPÉ(イルク・アダムエロぺ)
出展:@Press
ilk ADAM ET ROPÉ(イルク・アダムエロぺ)は「ADAM ET ROPÉ(アダムエロぺ)」から誕生したジェンダーレスブランド。
性別・年齢にとらわれることなく、多種多様なジェンダーを対象にしています。
ilk ADAM ET ROPÉが提案するアイテムは全てのジェンダーに向けてあり、サイズ展開はほとんどがメンズLサイズのワンサイズのみとなっています。
シルエットはメンズ・ウィメンズのパターンを組み合わせたものというとても斬新なもの。
オーバーサイズのダボっとしたシルエットが苦手という方もいらっしゃると思いますが、ドレープや落ち感、光沢などのエレガントさも大切にしていますので、キレイ系ファッションがお好みの方もぜひ注目してみて下さい。
https://www.junonline.jp/news/28346
Hender Scheme(エンダースキーマ)
Hender Scheme(エンダースキーマ)は2010年に誕生した日本のシューズブランドです。
身体的、生物学的な性差を尊重しながら、社会的、文化的な性差には介しない、どの人間も持ってしまっている固定観念やこれまでの教育によるジェンダースキーマを超越するアイテムを提案しています。
Hender Schemeのブランド名も「性差を超える」ことの表れとして、Gender Schemeの頭文字Gの次にくるHを採用してHender Schemeとしています。
Hender Schemeが提案するアイテムは、シューズ、バッグ、小物で、特にレザーシューズは世界中で、まさにジェンダーを超える人気となっています。
ADIDAS ORIGINALS(アディダス オリジナルス)とのコラボスニーカー、sacai(サカイ)とのコラボブーツ、コラボサンダルなども発表しています。
ジェンダーレスファッションってなんだろう?
ジェンダーレス(genderless)は、
「社会的・文化的に定められた「男らしさ」「女らしさ」にとらわれないライフスタイルを実現しようとする考え方のこと」
とか
「生物学的な性別を前提として作られた社会的、文化的に性差をなくそうとする考え方のこと」
などと言われています。
「男の子だから」「女の子だから」という前提の元に当たり前になっていることの身近な例を出すと、学校の制服がありますね。
これまでは男子はズボン、女子はスカートがなぜか当たり前でした。
もちろん、男子がズボンを履きたいから履いている、スカートを履きたい女子が自分の意思で履いているならなんの問題もありません。
しかし、これが日本の学校のいわば「公式」とも言える決まった服装で、厳しい言い方をすると「男らしさ」「女らしさ」の文化から、押し付ける形で着用させているとしたら、それは性差別だと考えることができます。
それって本当はおかしなことだよね?というところからジェンダーレスファッション、ユニセックスファッションは始まっているのです。
ジェンダーは私たちの経験や価値観、教育、家庭環境などによって、いつの間にか刷り込まれているものですので、たまには自分がジェンダーにとらわれていないか振り返ってみると良いですよ。
★ジェンダーの例
・男の子の髪は短い、女の子の髪は長い。
・男の子がおままごとで遊ぶのはおかしい。
・男の子は強く、女の子はか弱い。
・男の子は外で仕事をする。女の子は家で家事をする。
・これまでの例のように男・女を比べるときに男の子を先に例を先にあげて男性優位とする。(学校の名簿や出席をとるときも男の子が先になっていることが多い)
・結婚したら女の子は男の子の名字を名乗るのが自然なこと。
ジェンダーの問題は、まずは自分が気づいて疑問を持つことがとても大切です。
ジェンダーレス女子、ジェンダーレス男子のファッションを楽しみながら、ぜひ「なぜ世界中でジェンダーレスが叫ばれているのか?自分自身はどうしたい?」といういちばん大切なところも考えてみて下さいね。