現代も輝き続けるカトリーヌ・ドヌーヴの華やかなファッション

画像出典:https://buxtonoperahouse.org.uk/archive/the-umbrellas-of-cherbourg-u

カトリーヌ・ドヌーヴと言えば、ミュージカル映画「シェルプールの雨傘」のトレンチコート姿を思い浮かべる人もが多いのではないのでしょうか。
カトリーヌ・ドヌーヴは、2019年11月に脳卒中を起こし、パリの病院に入院するものの、その後リハビリを経て仕事に復帰しました。
2021年10月に78歳を迎えた彼女は、今なおブロンドの髪が魅力的な女優です。
「シェルプールの雨傘」のファッションを中心に、彼女が出演した映画の中のファッションを振り返ってみましょう。

1960年代から1980年代にかけての映画ファッション

カトリーヌ・ドヌーヴは、1964年、ミュージカル映画「シェルブールの雨傘」で、世界的スターの座を手に入れました。
半世紀以上経った現代でも、「シェルブールの雨傘」のファションやヘアメイクをお手本にしている女性は多く、この映画はおしゃれな女性たちのバイブル的な存在と言えます。
ファションは繰り返されると言いますが、近年レトロなファションが流行っています。
時を経ても『可愛いものは可愛』く『素敵なものは素敵』です。

出典:https://www.elle.com/jp/fashion/shopping/g37997065/catherine-deneuve-iconic-item/
「シェルブールの雨傘」の舞台は港町シェルブールで、17歳の傘屋の娘、ジュヌヴィエーヴと結婚を誓い合った恋人ギイとの悲恋物語です。
カトリーヌ・ドヌーヴ は、当時まだ映画作品に出演し始めたばかりの新人女優でしたが、シェルブールの雨傘が出世作となり、フランスの大女優としての地位を築き上げます。
この映画は、前半は優しいピンクのカーディガンと白いシャツの組み合わせが印象的ですが、このコーディネートは、清潔感がありながらもきちんと感もあります。
年齢にかかわらず、ピンクと白の組み合わせは清楚なコーディネートの原点とも言えます。
映画は中盤に入ると、彼女と彼は戦争のために引き裂かれる運命となりますが、その切なさをブルーのギンガムチエックにシンプルなトレンチコートが悲しみを示唆しています。
「シェルブールの雨傘」は、第17回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞しています。
この映画の中で、カトリーヌ・ドヌーヴ は、ブロンドの髪をポニーテールにして細いリボンをつけていますが、このヘアスタイルは映画公開後に大人気となりました。

出典:https://www.ellegirl.jp/life-culture/movie-drama/g35144453/catherine-deneuve-movie-history-21-0108/?slide=2

ちなみに「シェルブールの雨傘」はカトリーヌ・ドヌーヴのデビュー作品ではなく、1962年「パリジェンヌ」で、女子高生を演じています。
こちらのファッションもカーディガンを直用しており、その着方は、白シャツの襟だけ出してカーディガンは上から下まできちんとボタンをとめています。
丈も短めで、どこから見てもお嬢様風の着こなしです。
現代ではカーデガンの肩掛けスタイルや腰巻スタイルがポピュラーになりましたが、カーディガンのボタンをすべて止めた正装っぽい清潔感のある装い方は、現代でも見習いたいスタイルです。
ウエストと腰のラインをきれいに決めるノーマル丈のカーディガンは、ウエストラインやヒップラインをすっぽりと隠すロングカーディガンには出せない美しさがあります。

翌年の1963年「悪徳の栄え」は、第二次世界大戦中のナチス占領下のフランスが舞台で、カトリーヌ・ドヌーヴは、主演女優の妹役として出演しています。
フリルのついた甘めのドレスにマニッシュなツイードジャケットを羽織っていますが、現代でもコーディネートの基本は、甘めのアイテムには辛めのアイテムを足すのが常識となっています。

出典:https://www.elle.com/jp/fashion/shopping/g37997065/catherine-deneuve-iconic-item/

1967年「昼顔」は、第28回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品です。
カトリーヌ・ドヌーヴは、パリで幸せな結婚生活を送る一方、売春宿で娼婦として働く若妻を熱演しました。

劇中のタイツとパンプスを掛け合わせたコーディネートは、1960年代に流行ったセットアップスタイルですが、今でも色あせないファッションです。

1968年「恋のマノン」では、裕福な男性と交際することでリッチな生活を送る自由奔放な役を演じています。
赤のミニドレスが華やかな印象を与えます。

1970年「ロバと王女」では、印象的な太陽のような色のワンピースを纏い、ロングのブロンドヘアを、ポニーテールでまとめています。
このヘアスタイルは70年代に大人気となりました。

1972年「ひきしお」では、地中海に浮かぶ孤島で暮らす男女のロマンスを描いたヒロインを演じました。
カトリーヌ・ドヌーヴは、小麦肌に白のワードローブが印象的でした。

1976年「愛よもう一度」は、殺人の従犯者として服役中に出産し、出所後に14歳になった息子と親子関係を修復しようとする内容です。
この作品の中で着用しているクラシカルなテーラードジャケットにヘッドスカーフがオシャレですが、今年の秋冬のパリコレでもスカーフが人気です。
首に巻くのはもちろんのこと、ターバンのように頭に巻いたり、ベルト代わりウエストに巻くなど楽しいアレンジが目白押しです。

1979年「夢追い」は、脱獄したばかりの泥棒、シモン(ジャック・デュトロン)と同じく指名手配犯の高級娼婦フランソワーズ(カトリーヌ)が出会い、2人で協力して警察から逃れようと奔走する物語です。
秋冬のコーディネートには欠かせないベレー帽は、パリジェンヌには欠かせないアイテムですが、日本女性も世代を超えてベレー帽を素敵にかぶる人が多くなりました。
冬には必ず登場するタータンチェックのスカートやアラン模様のニットの定番コーデにベレー帽はぴったりです。

出典:https://www.ellegirl.jp/life-culture/movie-drama/g35144453/catherine-deneuve-movie-history-21-0108/?slide=17

1980年「終電車」では、ナチス占領下のパリを舞台に、オーナー兼主演女優としてモンマルトルの小さな劇場を切り盛りするマリオン(カトリーヌ)。ユダヤ人の夫を地下にかくまっているが、次第に劇の主演をともに務める俳優のベルナール(ジェラール・ドパルデュー)に惹かれていくというストーリーです。

1984年「ル・ボン・プレジィール」では、フランス大統領の秘密を握る元愛人を演じたカトリーヌ・ドヌーヴですが、クラシックブルーのセーターとホワイトパンツが印象的でした。

1960年代から1980年代の映画の簡単な内容とファッションをお届けしましたが、2000年代に入ってからは、2002年「8人の女たち」2013年「ミス・ブルターニュの恋」、2015年「太陽のめざめ」、2017年「ルージュの手紙」と多くの作品に出演しています。

また2021年のカンヌ国際映画祭非コンペティション部門で発表された『Peaceful』(英題)にも出演し、今も輝きを放ち続けています。

幾度も流行を作り上げた大女優

50年にわたってフランス映画界で活躍を続けるカトリーヌ・ドヌーヴのトレンドマークでもあるブロンドヘアですが、実は地毛はブルネット(栗毛)だそうです。
1970年代、カトリーヌ・ドヌーヴの大ぶりのカールやオールバックや外ハネスのヘアスタイルは、当時大流行しました。
日本でもカトリーヌ・ドヌーヴのヘアスタイルは、彼女の映画ファッションと共に多くの人が真似しました。
78歳を迎えた現在もカトリーヌ・ドヌーヴは美しいブロンドヘアをキープし、第一線で活躍しています。

出典:出典:https://www.ellegirl.jp/life-culture/movie-drama/g35144453/catherine-deneuve-movie-history-21-0108/?slide=23
2021年の秋冬のパリコレの特長は、レオパード柄やタータンチェック、エコファーなどが多く登場しています。

レトロシックな1970年代から1990年代の装いに、エコファーのベストを羽織ることで、今風のパリジェンヌを演出することができます。

今なお人気を博するカトリーヌ・ドヌーヴ

1960~70年代のコーディネートは、今見ても新鮮です。
カトリーヌ・ドヌーヴ主演のどの映画を見ても、パリジェンヌのアイテムの着こなし方が学べます。
昨今ではプチプラブランドが流行ですが、正統派のファッションを極めた上で、ラフで可愛いゆるかわファッションに挑戦すると、着こなしの幅が広がります。
ファッションは「映画から盗め」と言われているように、模倣がファッション界の常識となりつつありますので、着こなしを一度真似してみてはいかがでしょうか?