十年一昔と言いますが、ファッションの世界も同様で、1960年代のファッションは1950年代に比べて、若い世代のパワフルなファッションが目を引きます。
その代表的なファッションが、1961年に映画化された「ウエスト・サイド物語」の衣装です。
この記事では、時代とファッションの関係についてお伝えします。
1950年代のファッションから1960年代のファッションへ
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「ウエスト・サイド物語」は、1957年に誕生したオリジナルのブロードウェイ・ミュージカルです。
1961年に「ウエスト・サイド物語」として映画化され、第34回アカデミー賞で作品賞を含む10部門を受賞しました。
1957年のニューヨークを舞台に、ジェット団とシャーク団の敵対する2つの少年非行グループの闘争の中、若い男女が恋に落ちる様子を描いた作品で、ミュージカル映画の名作として、今も不動の人気です。
1950年代のファッション
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1950年代は、キュッとひき締まったウエストにボリュームのあるフレアドレスが流行りました。
オードリー・ヘップバーン主演の映画衣装にも見られるドット柄が人気で、戦後間もない日本でも人気のドット模様のファッションに身を包み、自由を謳歌する女性たちが増えました。
また、1950年代のファッションは、1940年代後半と同様に、クリスチャン・ディオールを中心に動いていきます。ディオールは毎年のように、Hライン、Aライン、Yラインなど新しいシルエットを発表し、流行に敏感な女性の心をつかみました。
これに対してバレンシアガが、「チュニック」を発表しています。
1960年代のファッション
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クリスチャン・ディオールが亡き後、イヴ・サンローランが後を継ぎますが、サンローランの前衛的なデザインは、クリスチャン・ディオール時代の職人たちからは支持されなかったようです。
1960年代には、機能的でシンプル、かつ開放的なヤングファッションが主流となっていきます。このヤングファッションの台頭となったのが「ウエスト・サイド物語」だったといっても過言ではありません。
また当時の代表的なファッションといえば、ミニスカート、ミリタリールックなどです。大胆な花柄、フリンジ、クロシェ編みなどを取り入れたニューファッションも登場しています。
1965年にはクレージュがミニスカートを発表しますが、1967年にイギリスのファッションモデルのツィギーが来日します。彼女の小枝のような華奢な体型に日本女性の多くが憧れ、日本でもミニスカート全盛時代へと突入します。1960年代後半にはイヴ・サンローランが、女性の社会進出への期待や応援も込め、パンツスタイルを提案します。
このように外国からの影響を受け、日本も西洋風のファッションへと変化していきました。
ファッションのアイデンティティとカラー
アイデンティティとは、自分がかけがえのない唯一の存在であることを自認することとも言えます。
一般論として、ファッションに興味がある人は、アイデンティティが高いようです。
「自分らしさ」を表現する手段の一つが、ファッションの色選びとされています。
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1960年代の若者ファッションを代表するきっかけともいえる「ウエスト・サイド物語」には、様々なカラーの衣装が登場します。
「ウエスト・サイド物語」は、イタリア系アメリカ人の非行少年グループのジェット団と、プエルトリコ系アメリカ人の非行少年グループのシャーク団との抗争と、その抗争に巻き込まれる男女の悲恋を描いた作品です。
以前は不良少年でジェット団の団長だったが、今は真面目に仕事をしているポーランド系のトニーをリチャード・ベイマーが演じ、シャーク団団長のベルナルドの妹マリアをナタリー・ウッドが演じています。
両グループが参加したダンスパーティーで悲劇が起こるのですが、悲恋の物語というよりは、素晴らしい歌とダンス、そして色とりどりの衣装に心が揺さぶられます。
ジェット団のイメージカラーは青と黄色で、シャーク団のイメージカラーは赤と紫です。まさに各人各様のアイデンティティが感じられます。
トニーは青の長袖ワイシャツを直に着て、ボトムスはブルージーンズです。
シャーク団の全員が右手首に幅広で薄い黒革のリストバンドをしているのも面白いですね。ベルナルドの黒いTシャツの上に羽織っている赤いシャツが印象的で、アイデンティティ満載です。
「ウエスト・サイド物語」の衣装のカラーについて
ベルナルドの妹役マリアを演じたナタリー・ウッドは、ダークカラーのヘアーに、ロシア系の血を引く美人です。
身長152㎝と小柄で細身ながら均整のとれた体型で、ウエストサイド物語では当時の流行であったワンピースをフレッシュに美しく着て演じました。
ウエスト・サイド物語でナタリー・ウッドが着ていたイエローのドレスは、ジェット団のイメージカラーです。
ちなみに黄色は太陽を象徴する色ですが、カラーメッセージとしてのマイナス面は、個人主義者が好む色とも言われています。
一方、トニーが好んだブルーは、空や海の色で浄化や清潔を連想させますが、カラーメッセージとしてのマイナス面は、優柔不断の人が好む色とも言われています。
シャーク団のイメージカラーは赤と紫ですが、赤は情熱的でドラマチックではあるものの攻撃的な色とも言われています。
紫を好む人はプライドが高い一方、現実を逃避する傾向にあるようです。
2020年時代に生きる私たちも色のパワーを上手に利用しましょう
カラーは、プラスとマイナスの意味を持っていますが、日々のファッションに上手に取り入れることで、自分の体や心に変化を起こすことができます。
よく知られているのが女性の場合、ホルモンのバランスを整える働きが期待できるピンクや下半身の冷えを和らげる赤色の下着やボトムスです。
何となく気持ちがざわざわする時には、優しいピンクのセーターやスカーフを身に着けるだけでも、女性ホルモンが分泌されやすくなると言われています。
知っておくと便利な色の持つ効果
色の持つプラス効果を知っておくと、日常に応用することができます。
苦手な色も、スカーフや靴下などに取り入れると、カラー効果が得られます。
以下に色が持つ効果をまとめましたので、参考にしてください。
・ピンクは、女性性をアピールできます。
・ターコイズは、清潔感がアピールできます。
・イエローは、やる気を引き出せます。
・パープルは成熟感をかもし出します。
・グリーンは自然との調和や安定感を与えます。
・レッドは、情熱やエネルギーを引き出します。
・ブルーは、誠実と純粋さをアピールできます。
・オレンジは開放的で活力がわきます。
・イエローがかったグリーンは、新芽をイメージさせ、フレッシュな気持ちになれます。
・ベージュは、柔和で落ちつきを与えます。
・ブラウンは、安定感があります。
・ホワイトは、清廉潔白、純粋無垢な色で、心身のリセットが望めます。
・ブラックは、神秘的で自分の気持ちを律する作用があります。
転換期であった1960年代のファッション
かつて、ファッションは貴族や富裕層、映画界など一部の人たちのものでした。
ところが、1960年代に入り、若者文化の台頭とともに、一般の人も手軽に楽しめるプレタポルテ(高級既製服)が導入され、街はアイデンティティあふれるファッションでにぎあいました。
それから半世紀以上たった2020年代も、1960年代に育ったTシャツやジーンズは世代を超えて愛されています。
ファッションの歴史を振り返るとき、1960年代が過渡期であったように思われます。
ファッションも上手に取り入れながら、自分を素敵に演出しましょう。