この服、どうやって洗えばいいの?「標準コース」「おしゃれ着コース(ドライコース)」の使い分け

毎日なんとなくやっている洗濯ですが、汚れはきちんと落ちていますか?
洗濯は洋服と仲良くなるための大切なメンテナンス。
ひとり暮らしを始めたばかりの人も、長く自分で洗濯をしている人も、1度洗濯の基本に立ち返ってみましょう。

洗濯ってなんのためにするの?


最初に、なぜ洗濯が必要なのか考えてみましょう。

衛生状態を良くするため

衣服を清潔にすることは身体を清潔にすることになり、衛生状態を保つことにつながっています。
同じ服を洗わずに何度も着続けると、汚れも付着しますし嫌な臭いも発してきます。

衛生状態が良い日本にいるとわかりにくいことですが、不衛生な状態が深刻化すると、感染症など命にかかわる問題にもなってしまうので、清潔を保つことは私たちが思っている以上に重要なことなのです。

匂いの問題

洗濯には、匂いの原因になる汚れを洗い流してスッキリとした匂いに戻すというリセットの意味もあります。
日本人は自分の匂いを気にする人が多く人の匂いにも敏感です。近年、良い香りの柔軟剤が流行ったのもそういった国民性によるところが大きいでしょう。

しかし、匂いの元は衣服の着用によって付着してしまった汚れや雑菌なので、本来は柔軟剤で防げるものではありません。
匂いが気になる場合は最初から良い匂いの柔軟剤を使うのではなく、まずは「汚れを落とすこと」についてきちんと知ってみてはいかがでしょうか?

なぜ洗剤が必要なの?


洗濯機で衣服を洗うとき私たちは当たり前のように洗剤を使いますが、なぜ洗剤が必要なのでしょうか。

水に溶けない汚れがある

衣服に付着する汚れには水に溶ける水溶性の汚れもあれば、水には溶けず油に溶けやすい脂溶性の汚れもあります。
水と油はそのままでは混ざらないので、脂溶性の汚れは水だけで洗濯しても落とすことができません。

そこで活躍するのが洗剤です。
洗剤に含まれている界面活性剤は水と油の両方の性質を持っています。本来は油にしか溶けない汚れを洗濯機の水になじみやすくして、衣類から汚れを引き離すことができるのです。
離れた汚れが再び衣類に吸着してしまうことを防ぐ働きもあるため、洗剤で洗った服は綺麗になる、ということになります。

泡が汚れを落としているの?

洗剤を水に溶かしてよくかき混ぜると泡ができます。あの泡が汚れを落としているように見えるかもしれませんが、汚れ落ちに直接関係しているわけではありません。
泡には汚れを吸着して水面に浮かび上がらせる働きがあり、衣服を洗っている水中の汚れを減らしてくれています。
泡が汚れを落とすのではなく、洗浄効果を補助しているのです。

洗濯機のコースの選び方


洗濯機には様々なコースがありますが、服の洗濯で使い分けたいのは、

・標準コース
・おしゃれ着コース(ドライコース)

の2つです。

標準コースの使い方

「標準コース」は普段使いの衣類の洗濯に最適なコースになります。
洗濯機の機種にもよりますが、洗濯漕の中では、

洗い

排水・脱水

すすぎ

排水・脱水

すすぎ

排水・脱水

と、洗い1回・すすぎ2回・脱水が行われています。
洗いの時間、すすぎの回数などは洗濯機によって調整・変更することも可能です。

この標準コースではさまざまな衣類を洗うことができます。
Tシャツ、スウェット、ワイシャツ、肌着、靴下などの普段使いの多くの衣類、それからタオル類も標準コースで洗うことができます。

おしゃれ着コース(ドライコース)の使い方


おしゃれ着コースは「優しく洗えるコース」のこと。機種によってはドライコースと記されていることもあります。
洗濯漕にたっぷりの水をためて、標準コースよりもやさしい水流で衣服を泳がせるように洗っていきます。
摩擦を抑えながら洗えるのでデリケートな衣類を傷めることなく洗えるメリットがあります。

おしゃれ着コース(ドライコース)で洗うべき服は、ワンピース、ニット、ブラウス、ランジェリー、洗えるコートなど。学校の制服も洗うことができますよ。
素材ではシルク、カシミヤ、ウール、リネンなどはおしゃれ着コースが適しています。

ちなみにクリーニング店のドライクリーニングは水を一切使わない洗い方なので、洗濯機の「ドライ」とはまったく別物になります。

おしゃれ着コース(ドライコース)では専用洗剤を使いましょう

おしゃれ着コース(ドライコース)で洗濯をするときは、いつも使っている洗濯洗剤ではなく必ず「おしゃれ着用洗剤」を使って下さいね。

衣類の汚れの多くは「酸性」の汚れのため、通常の洗濯洗剤は「弱アルカリ性」に作られています。弱アルカリ性洗剤は汚れ落ちは良いのですがデリケートな衣類には洗浄効果が強すぎることがあるんです。
おしゃれ着用洗剤はデリケート衣類の洗濯専用に作られていて「中性」になっているため通常の洗濯洗剤よりも優しく洗うことができます。

デリケートな衣類は「おしゃれ着コース(ドライコース)で、おしゃれ着用洗剤で洗う」ということを覚えておくと、ニットなどもクリーニングに出さずに自分で洗うことができます。

洗濯ネットを活用しましょう

おしゃれ着コースで洗うときは洗濯ネットを活用しましょう。
洗濯ネットには、ワンピースやロングスカートなどが絡まることを防ぐ、摩擦を軽減して毛玉やダメージを防ぐ、ホックやファスナーがほかの衣類に引っかかることを防ぐ、しわの予防などの効果があります。
衣類は詰め込みすぎずに、洗うものと同じサイズのネットに入れるようにしましょう。

服に適した洗濯コースの見分け方

「標準コースとおしゃれ着(ドライコース)の違いはわかったけど、どの洋服をどのコースで洗えば良いか判断できない」という人も多いことと思います。

でも大丈夫!
その答えは服の「洗濯タグ」に記載されています。

こちらは実際の洗濯タグです。

洗濯の方法が詳しく書かれていますが、ここまで丁寧に書いてあるのはめずらしいかもしれません。
大切な情報は赤い枠でかこんである洗濯マークで、マークの意味を知ることが上手に洗濯ができるようになる最大のポイントになります。

こちらが現在使用されている洗濯表示です。

上の洗濯表示の意味は、
・30度までの温度で洗濯機で洗える
・漂白剤は使用禁止
・低い温度でタンブル乾燥可能
・アイロンは110℃を限度としてスチームなしで
・ドライクリーニング禁止
となっていることがわかりますね。

なお、おしゃれ着コースで洗うことを意味する洗濯表示は存在しません。
目安としては、洗濯処理のマークが「弱い水流」「非常に弱い水流」「手洗い」になっているときは、おしゃれ着コースで洗うと良いでしょう。
※洗濯機の使用が不安な場合は手洗いして下さい。

正しい洗濯で大切な衣類を長く愛しましょう

選択洗剤でおなじみのライオンの調査によると、洗濯機の「標準コース」と「おしゃれ着(ドライコース)」を使い分けている人は53.3%と半数程度だったそうです。

洗濯機にはいろいろなコースがあって迷ってしまいますが、この2つだけでも使い分けられるようになるとしっかり汚れを落とすこともできますし、ニットなどの一見クリーニングが必要な衣類もご家庭で洗えるようになり経済的です。
おしゃれ着コースを使ったことがない方は、ぜひ試してみて下さいね!