2022年6月18日から9月25日まで、東京 丸の内 三菱一号美術館で「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」が開催されています。
シャネルが大好きな方も、「シャネルって香水くらいしか知らない。5番だったっけ?」という方もぜひ会期中に足を運んでみませんか?
シャネルがデザインしたドレス、スーツ、バッグなどの実物と映像が140点以上も並ぶとっても贅沢な展覧会となっていて、ガブリエル・シャネルがどのようなポリシーを持って挑戦し続けたのか、なぜ今もなお世界中の女性に支持され続けるのか、その理由がわかりますよ。
ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode 開催情報
・会期:2022/06/18~2022/09/25
・会場:三菱一号美術館
・アクセス:JR東京駅(丸の内南口)徒歩5分
都営三田線 日比谷駅(B7出口)徒歩3分
東京メトロ千代田線 二重橋前〈丸の内〉駅(1番出口)徒歩3分
東京メトロ有楽町線 有楽町駅(D3/D5出口)徒歩6分
東京メトロ丸ノ内線 東京駅(地下道直結)徒歩6分
・公式サイト:https://mimt.jp/gc2022/
140点以上ものアイテムを間近で見ることができます
「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」は、フランス ガリエラ宮パリ市立モード美術館から始まって、オーストラリア メルボルンのヴィクトリア国立美術館を巡回、そして海を渡って東京にやってきた展覧会です。
「CHANEL」のブランドで世界中の女性から愛されているガブリエル・シャネルがデザインしたアイテムが約140点紹介されています。
ガブリエル・シャネルと代表的なファッションアイテム
ガブリエル・シャネルは1883年フランスに誕生します。
シャネルは「ココ・シャネル」の通り名で知られていますが、本名は「ガブリエリ・ボヌール・シャネル」です。
彼女にはお針子の仕事をしながら、歌手になることを夢見てキャバレーで歌っていた時期があります。そのときによく歌っていた曲が、「Ko Ko Ri Ko(コケコッコウ)」と、「Qui qu’a vu Coco dans le Trocadero(トロカデロでココを見たのはだれ)」の2曲。
”ココ”の名称はこれらのタイトルにちなんでつけられたという逸話があります。
デザイナーとしてのキャリアは帽子のデザインから始まりますした。
シャネルが活躍を始めた20世紀初頭は、ちょうど女性が社会進出を始めた時期でもありました。
この頃の女性はウエストをコルセットで細く締め上げ、より細く美しく見せることが美徳とされていたのですが、それはもう拷問と言っても良いくらい窮屈なものでした。
現代社会で考えると不思議に感じますよね。「キツいならはずせば?」と思うことでしょう。
しかし、18世紀フランスは強力な父権社会で女性と子供は夫や父親の権威に依存して生きるべき存在という価値観があり、このコルセットはそういった社会を象徴するものでもあったのです。
シャネル自身も動きにくく窮屈なドレスや過剰な装飾がついた帽子にうんざりしていたのだとか。
女性たちのそんな「解放されたい」という潜在的なニーズを見出していたシャネルが手に取ったのは、なんと当時男性向けの下着に使われていたジャージー素材でした。
ウエストをギュウギュウに締め付けていたコルセットとロングドレスから女性を解き放って、ゆったりとしたジャージー素材のひざ丈スカートにジャケットという新しいあり方を提案したのです。
今では女性のボディラインを強調しない着心地重視の服も当たり前にありますが、その原点はあのハイブランドでおなじみのシャネルだと考えると面白いと思いませんか?
ガブリエル・シャネル展 Manifeste de modeでは、シャネルがデザインしたジャージー素材のドレスも鑑賞することができますよ。
シャネルNo.5と合成香料
時代は1920年。
当時の香水はいわゆるフローラルな香りのものしかありませんでした。
それも大量の花を使った高価なもので、香りはすぐに飛んでしまいます。こんな高価な香水を使えるのは貴婦人か娼婦くらいのものだとも言われていたそうです。皮肉がこもっていますね。
シャネルは、シャネル独特の香りがする香水を作りたいという想いに駆られます。
そんなときに偶然にも出会ったのが科学者・調香師のエルネスト・ボーです。シャネルは自分の理想とする香りを彼にリクエストするのです。
複数の花を原料にして、ここに化学合成香料を加えることでシャネルNo.5は完成します。
このNo.5という名称は、エルネスト・ボーが何十種類もの天然香料から作った10の試作品の中からシャネルが選んだのがサンプルNo.5だったことからその名がついたと言われています。いかにも官能的で甘ったるい名称にしなかったところにもシャネルの強い意志が感じられます。
こうして大量生産が可能な多くの女性の手が届く香水が誕生したのです。
女性の両手を解放したチェーンバッグ
シャネルのチェーンバッグは今でも女性の憧れですが、ファッション性だけを重視して作られたものではありません。
当時の女性向けバッグはクラッチバッグなどのハンドバッグが主流でした。
持ち方次第でとてもエレガントに見えるバッグですが、必ず手で持たなければならないため不自由なシーンもあったことでしょう。
バッグを置き忘れる事案も多発していたのだとか。笑
シャネルは、バッグにチェーンをつけてショルダータイプにして世に出しました。
チェーンで肩にかけらるようにしたことで、女性の両手を解放したのです!
”マトラッセ”に代表されるチェーンに革を編み込んだシリーズもファッションだけでなく、チェーンがじゃらじゃらを音を立てることを防ぐ効果も考えられているのだそう。
いまでは当たり前のショルダーバッグも起源はシャネルなのです。
シャネルには面白い逸話もたくさん!
これだけのことを成し遂げたガブリエル・シャネル。1971年に87歳で亡くなります。
シャネルにはおもしろい逸話もあります。
たとえばコルセットのお話。実はコルセットから女性を解放したのはシャネルではなく別の男性デザイナーだったとも言われています。
また、シャネル自身がさまざまなメディアの中で語ったことの中には事実ではないこともたくさんあるのだとか。
超一流デザイナーとして物語を作りたかったのか、洒落をきかせたのかはわかりませんがセルフプロデュースやブランディングにも長けている、したたかでキュートで愛すべき女性だと感じます!
繰り返すトレンドを楽しもう
ファッションのトレンドは20年~30年おきに繰り返されています。
現在は日本が元気で経済的にも豊かだった頃のバブリーな時代のハイブランドバッグが再び流行していて、母親からのおさがりのシャネル、ルイ・ヴィトン、グッチのバッグを娘世代がSNSに上げるというムーブメントが起こっています。
母娘で「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」を閲覧に行くのも楽しそうですね。
「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」では、「男性ありきの女性」ではなく「女性本来の美しさ」を追及する挑戦や、シャネルがどこまでも女性に寄り添い、女性を社会へと結びつけてくれた存在であることが伝わってくると思います。
この思想は、今度はジェンダーを超えてありのままに生きようとする人々が声を上げ始めた現代社会にも通じるものがあるのではないでしょうか。
ここでピックアップした以外にもシューズ、宝石、アクセサリーなど、たくさんのアイテムにシャネルが込めた想いや貫き通した美意識を見ることができます。
展覧会に行かれたら、ぜひ来場者のファッションにも注目してみて下さい。
ご自慢のシャネルファッションで身を包む素敵な女性をたくさんお見かけできて楽しめること間違いなしです。