2022年秋冬の流行色はピンクや赤など、ここ数年の重く暗い世の中をパーッと明るくするような色がトレンドになっています。また、定番ブラックもありですし、イエロー、グリーンなどもおすすめカラーです。
特にグリーンは2021年頃から大流行しているのですが、2022年は「ケリーグリーン」と呼ばれる落ち着いたグリーンがおしゃれ!
この冬もグリーンのボトムスを履いた男の子・女の子を街でたくさん見かけると思いますよ。
ところで「トレンドカラー」ってどうやって決まるの?
トレンドカラーは毎年変わりますよね。ファッション誌でも流行色特集をよく見かけます。
トレンドカラーは自然発生的に決まっていくのではなく、デザイナーが決めるわけでもありません。
トレンドカラーを選定するのは「インターカラー(国際流行色委員会)」
流行色を決定するのはインターカラー(国際流行色委員会)と呼ばれる国際機関です。
2021年時点での加盟国はアメリカ、イギリス、イタリア、インドネシア、韓国、スイス、スペイン、タイ、中国、デンマーク、ドイツ、トルコ、日本、ハンガリー、フィンランド、フランス、ポルトガルです。加盟国は流動的で、以前はオーストリア、ルーマニア、チェコ、コロンビアも加盟していました。
これら加盟各国の非営利色彩情報団体が6月と12月の年に2回行われる会議に参加してトレンドカラーを決定しています。6月には2年後の春夏カラー、12月には秋冬カラーが選定されるのです。
ここで選定されるのはファッショントレンドカラーだけではありません。化粧品、工業製品などまで採用されるトレンドカラーが選ばれることになります。
会議は主にヨーロッパで開催され、約500色の中から20~30色のトレンドカラーが決定されます。
インターカラー(国際流行色委員会)で決まるトレンドカラーは2年後のもの
ファッション業界の場合、インターカラーで選定するトレンドカラーは「2年後に流行するカラー」になります。
このトレンドカラーの発表を受けて、アパレル業界はファッションアイテムをデザインしてコレクションやショーで発表するわけです。
2年前には2022年にピンクやグリーンが爆発的人気になることが予想されていたわけですね。
日本におけるトレンドカラーは?
インターカラーで選定されるトレンドカラーは世界情勢などからいち早く決められた指針となります。
では日本国内ではどうなっているのかというと、「一般社団法人 日本流行色協会(JAFCA)」に「インターカラー日本委員会」が置かれ、国を代表してインターカラーに参加しています。
JAFCAはインターカラーの発表後に日本国内の社会情勢、同行、世相などを総合的に踏まえて、それぞれの分野でインターカラー発表のトレンドカラーを踏まえて国内向けのトレンドカラーとカラーテーマ発表します。
この発表が行われるのが実際に流行する1年半前(インターカラーの発表から約半年後)になります。
ちょっとややこしいのでポイントをまとめます。
・トレンドカラーは実際に流行する2年前に決まっている!
・毎年6月に2年後の春夏カラー、12月に秋冬カラーが選定される。
・選定するのは国際機関の「インターカラー(国際流行色委員会)」
・日本では「一般社団法人 日本流行色協会(JAFCA)」に「インターカラー日本委員会」が置かれていて、国を代表してインターカラーに参加している。
・国内向けのトレンドカラーは、インターカラーの発表から約半年後にJAFCAが発表する。
トレンドカラー発表後のファッション業界の流れ
インターカラー、JAFCAの発表を受けたあと、ファッション業界ではトレンドに間に合わせるために約1年かけて洋服を作ることになります。
トレンドとなる約1年前にトレンドを取り入れた素材の展示会があるので、ここで素材を選定します。
デザイナーを中心にテーマ、素材、デザインなど決定して洋服を制作して、コレクションで発表するのです。
トレンドカラーは必ず流行るの?
トレンドカラーが発表されるのは2年前になりますので、インターカラー選定の色が必ず流行るとは限りません。
例えばシックなブラックがトレンドカラーになったとします。
しかしここから2年間の間に暗い出来事が続いてしまったとしたら、ファッションカラーまでも暗い色ばかり取り入れたくないという心理が働くでしょう。
逆に明るい黄色がトレンドカラーだとしたら、特に日本においては明るすぎるカラーは不謹慎な感じがしたり、取り入れにくい色になってしまいます。
色は私たちの心理に深く関わってくるため、景気の良し悪しや社会情勢、さらには私たち一般消費者の気分によって自然と手に取る色、取り入れにくい色がでてきてしまいます。そのため、トレンドカラーがあまり流行らないということもよく起こります。
何のために2年前から選定するの?
流行らないかもしれないトレンドカラーを何のために決めているの?と不思議に思われるかもしれません。
それは、ファション界のスケジュールは2年前から動き出すからです。
発表する洋服の生地を担当するテキスタイルデザイナーは、「トレンドカラー」を参考にしてデザインを決めますので、2年前から準備しなければならないのです。
トレンドカラーはあくまでも「提案」です。
市場にはたくさんの色が溢れていて、ファッション業界、家電製品、自動車工業、インテリアなどなど、あらゆるものの製造に色を使うことが欠かせません。
これらのものづくりにおいて、社会情勢や消費者の動向から「時代にマッチする製品」を作るために流行するであろう色を取り入れるのは非常に重要なことです。
みなさんも「この洋服、形はすごく良いんだけど色がなぁ・・・」と思ったことがありますよね?
色は購買意欲を駆り立てたり逆になくしたりするくらい私たちの意識に働きかけてくるものなので、できるだけ流行にあった色の洋服や製品を作ることはものづくり業界においては必須なのです。この指標となるのが2年前に決定されるトレンドカラーなのです。
ファッションにトレンドカラーはとりいれるべき?
「人と違うファッションが良い」「トレンドに左右されたくない」というおしゃれの楽しみ方もありますが、トレンドカラーを少し意識することでおしゃれが変わってきます。
トレンドカラーをファッションに取り入れると、時代にあったコーディネートがしやすくなるので、ビジネスシーンで周囲から浮きたくないときや、男性も女性も初めてのデートに着ていく服を選ぶときなどには意識すると便利でしょう。
また、トレンドにあった服を着ていると、ファッションをわかっているおしゃれ上級者、こなれ感も自然と出てきます。時代に合ったおしゃれを楽しみたい人にも、逆にあまり難しいことを考えずに服を選びたい人にとっても便利に使いこなすことができます。
古着に使われている色は当時のトレンドカラーなので、古着が大好きな方にはあまり関係ないと思われるかもしれません。
しかし、古着独特のデザインや質感とトレンドカラーをあわせると、これこそ今の時代にぴったりで、かつ自分にしかできないファッションを楽しむことができるでしょう。
ぜひトレンドカラーを意識して、ファッションの幅を広げていきましょう!