スタイリストってどんなお仕事?どうやってなるの?お給料はどれくらい?

よく雑誌やSNSで「スタイリストの私物」とか「スタイリストの1週間コーデ」などの特集がありますよね!
でも、改めて考えてみたらスタイリストってどんな職業なのでしょうか?

スタイリストってどんなお仕事なの?


スタイリストはテレビ、雑誌、広告、カタログ、アーティスト、ミュージシャン、映画などに出演する人たちの衣装スタイリングを行うお仕事。
例えばアナウンサー担当のスタイリストであれば、そのアナウンサーに似合っていて、かつTPOにあった洋服を選んでコーディネートします。

アーティストやミュージシャン担当のスタイリストになると、自分でデザイン画を描いて制作してもらったり、既製品をリメイクしてオリジナル衣装を作ることもあります。

 

あるスタイリストの1日

実際にスタイリストを職業としている女性のある1日を見てみましょう。

10時:洋服の返却

午前中は借りた衣装、洋服、小物などを各ブランドに返却します。
返却先は店舗ではなく、プレスルームと呼ばれる部署になります。プレスルームは衣装協力をしてくれるアパレルブランドの宣伝や広告を担当する部署で、都内では渋谷や表参道に集中していますので、まとめて回って返却手続きを行います。

 

12時:ランチ兼打ち合わせ


雑誌編集者や他のスタイリストと打ち合わせや情報交換をしながらランチタイム。
各ブランドの傾向やリース状況を聞いたり、取引をしたことがないブランドの担当者を紹介しあうこともあります。

 

14時:リースのスケジュール調整

衣装を借りる(リースする)ためにプレスルームに予約を入れておきます。
リースする衣装の数はアナウンサーやタレントの衣装なら数件、雑誌の撮影なら30~60件以上も回ることもあるそうです。
そのため、スケジュール調整だけでも大変で、通常は編集部や自宅からまとめて電話でアポ入れを行います。リース予約が少ない場合は移動中に電話をすることもあります。

 

15時:事務作業

雑誌などの媒体に記載される洋服のブランド、金額、メーカー、問い合わせ電話番号などをパソコンに入力してデータにして編集部に送るのもスタイリストの仕事です。
また、編集部から送られてきた雑誌の紙面とリース伝票の両方をチェックして内容に間違いがないことも確認します。
雑誌の場合、この確認作業は編集者、プレス、スタイリスト、担当者など複数の人がそれぞれチェックして、間違いがないことを確認しています。

 

16時:衣装の回収

着用した衣装を回収します。衣装はロッカーに入っているので、リース伝票と照らし合わせて確認します。
リース期間は衣装が1~2週間程度、アクセサリーは長くて1か月程度借りることができます。

 

17時:衣装合わせ(コーディネート)


事前に出演者さんのサイズを採寸して、1人につき、3~4パターンほどの洋服を用意しておきます。
タグを外しておく、アイロンをかけておく、インナーやキャミソールもあわせておいて、アクセサリーは絡みがないように袋に入れておきます。
出演者さんの好みのブランド、色、形なども把握して、キレイに見えるようにコーディネートするのもスタイリストの大事なお仕事です。

なお、報道番組の場合はきちんとした印象が求められるので、カジュアルな服装、ノースリーブは避けるようにします。それから、事故・事件を連想させてしまうため赤い服も避けます。
急な出演にも対応するため黒や紺の洋服は買い取ってあり常にロッカーに入れてあります。

 

18時:出演者のフィッティングとサイズ調整。モニターでチェック

出演者さんに用意した衣装を見せて、1度全て着てもらって当日の衣装を決めます。
衣装が決まったら鏡の前に立ってもらってサイズを微調整します。少しウエストが緩いなら安全ピンで留めて糸で縫い付けるなどの細やかな作業もスタイリストが行います。

雑誌の撮影なら安全ピンやクリップで留めるだけのこともあるのですが、テレビは長時間の着用になり、側面・背面が映ることもあるので目立たない糸で丁寧に縫い付けます。

このフィッティング中のおしゃべりで、希望の衣装について聞いたり打ち合わせをすることもあります。

番組の収録が始まったら、モニターでチェックします。
衣装の乱れやアクセサリーの乱れがないことをチェックして、直すところがあったらコマーシャルの間に直します。

ベテランスタイリストになると、テレビに出始めたばかりのタレントさんなどに映り方や座り方のアドバイスをすることもあるそうですよ。

 

19時:後片付け。回収

着用した衣装を回収します。
ガーメントバッグにしまって、自宅に持ち帰ってアイロンをかけます。
このとき、汚れやシミがないことも確認します。

これで今日の仕事は終わりです!

 

スタイリストの仕事のやりがいは?


1日の流れを見てもわかる通り、スタイリストのお仕事は実は意外と地味で大変なことも多いものです。
事務作業もあれば数字のチェック、リース・返却手続きなど、決して間違えてはいけないお仕事もたくさんあります。
何気ない会話の中からタレントさんの好みを聞き出すなどのコミュニケーション能力も必要です。

また、スタイリストとしての意見と、アーティスト、編集スタッフさんなどと意見が違うこともあれば議論になることもあります。
大勢の人に関わるため、大変なことも気を使うこともとても多いのですが、番組、雑誌などが仕上がったときには言葉に尽くせない喜びがあるはずです。

また、スタイリストのお仕事をしていると、アパレルメーカーやデザイナーが主催する展示会を見に行くこともできます。
まだ発売されていない洋服をいち早くチェックできるのは、ファッション好きにとっては楽しみなことでしょう。

第3回 ファッションデザイナーの基礎知識:展示会

 

スタイリストってどうやったらなれるの?


スタイリストの仕事に就くためには特別な資格は必要ありませんが、ファッションについての知識全般が必要になるので、高校を卒業したら服飾系の専門学校や大学・短大で学ぶのが一般的です。
インターン制度がある服飾系の学校では職場体験ができますよ。

卒業後は、まずスタイリストのアシスタントとしてデビューすることが多いです。
スタイリストのお手伝いをしながら経験を積みます。この時期にたくさんの人脈を作っておくと、必ず将来に活かされますよ。

仕事に慣れたら、スタイリストとしてのお仕事を徐々に任されるようになります。
仕事のフィールドはたくさんありますので、フリーランスで働くスタイリストさんも多いです。

 

スタイリストのお給料ってどれくらい?

平均年収は200万円~300万円程度が相場のようですが、頑張り次第で400万円程度までアップすることも可能です。

フリーランスとしてタレントさんから指名が入るくらい活躍できれば500万円~800万円ほど稼ぐ人もいます。中には1,000万円以上稼ぐスタイリストさんもいますので、収入はキャリア次第と言えそうです。

参考資料:キャリア教育支援ガイド お仕事ナビ:ファッションに関わる仕事