「ウールライク」に「シルクライク」 〇〇ライクな繊維とは?

この間、フリマアプリで気になった衣類のコメントでのやりとりで、

質問者さん「素材はなんですか?」
回答者さん「ウールっぽい素材です」

というものを見つけました。
画像に写っていた洗濯表示タグで素材を確認すると、「ポリエステル80%、レーヨン20%」となっています。

ウールは天然繊維、ポリエステルとレーヨンは化学繊維になりますので素材としては異なるのですが、取り扱いが難しいウールの代用として、ウールっぽい「ウールライク」な製品もファストファッションを中心にたくさん出回っています。

「ウールライク」や「シルクライク」ってどういうこと?


「ウールライク」「シルクライク」のような素材は、それぞれ「ウールのような」「シルクのような」質感を持つ素材のことを指します。
本物のウール、シルクが使われているわけではないのですが、技術の進化によってよりウールっぽい、シルクっぽい見た目と手触りをしていて、さらに化学繊維でできていることからお財布に優しいお値段で、家庭洗濯での扱いやすさは抜群という良さもあります。

 

ウールライク、シルクライクな服はどんな繊維でできているの?

ウールライク、シルクライクはあくまでも肌触りや着用感になるので、「この繊維が使われているからシルクライク」というような決まりはありません。
ただ、使用される繊維は共通していますので代表的なものをご紹介します。

ウールライクな繊維とは?


ウールライクな繊維のひとつにポリエステルがあります。ウールライクなポリエステルは毛足を長くする、手触りをモコモコにする、保湿性を持たせるなど見た目、肌触り、機能がウールに近づくように工夫されています。

ちなみにポリエステル素材は現在流通している衣類の半数を占めていると言われていて、皆さんの身の回りにポリエステルでできた衣類は本当にたくさんあると思います。

 

ウールライクなポリエステルのメリットは?

ウールライクなポリエステル生地のとても良いところは家でガンガン洗えるところ!
お洗濯が好きな方ならウール生地を丁寧に洗うこともお好きかもしれませんが、一般的にはウールを家で洗うのはややハードルが高いことでしょう。
ウールライクなポリエステルならウールの宿命である「フェルト化」を気にすることなく洗うことができますし、速乾性に優れた素材ですので真冬でも乾きやすいという嬉しい特徴もあります。

また、ウールライクな生地は保管がしやすいというメリットもあります。
ウール、シルク、カシミア、アルパカなどの天然素材はどうしても虫食いの心配があるので、去年購入したウールのセーターを今年着ようとしたらもう虫に食われてたということもあります。
ポリエステルは虫食いの心配がないので、きちんとお洗濯をしてからしまえば長期収納でも虫に食われることはありません。

 

ウールライクなポリエステルにデメリットはある?


ポリエステルのデメリットとしては、まず、静電気が起きやすいことがあげられます。
お洗濯には柔軟剤を使用することをおすすめします。

冬用衣類としてのウールならあまり心配ないかもしれませんが、ポリエステルは汗を素早く吸ってくれるので汚れを吸着しやすいという性質もあります。
洗濯で他の衣類からの汚れが移ってしまうこともあります。

ポリエステルはこまめに洗濯をする、洗っても臭いが気になるときは酸素系漂白剤でつけ置きするなどの方法で対応しましょう。(洗濯表示タグで酸素系漂白剤が使用できることを確認して下さいね)

 

「アクリル」もウールライクな生地です

手ごろな価格で購入できるウールライクなストールやセーターなどには、アクリルが使われていることもあります。
アクリルは石油から作られる化学繊維で、製造工程で繊維に空気をふくませてカサを持たせてあります。これによりウールのようにふんわりと柔らかく保温性が高くなっています。
ウール100%では価格が高くなってしまうような場合に、アクリルを混紡して価格を抑えるケースもあります。

 

ウールライクなアクリルのメリット

ウールライクなアクリルの最大のメリットは、見た目があまりウールと変わらないこと。
素材感もウールにかなり近いためデイリーユースしたいニットやストールなどはアクリルで、しっかりとキメたいときはウールで、と使い分けることでメンテナンスも簡単になりますし衣類が長持ちしますよ。

長持ちと言えば、アクリルはとにかく長持ち!
ウールに似た性質を持ちながら型崩れしにくい、虫食いの心配がない、洗濯によってデザイン性が損なわれにくい、色が落ちにくいという耐久性もあるので、ガンガン着用して安心して自宅でお洗濯ができます。

 

ウールライクなアクリルのデメリット

ウールライクなアクリルのデメリットのひとつが静電気が起きやすいこと。
冬場のニットなどに使われることが多いアクリルですが、乾燥によって静電気が起きやすいのでお洗濯の際に柔軟剤を使用すると良いでしょう。

もうひとつ気を付けたいのが吸水性が非常に弱いこと。
ほとんど汗を吸わないのでアクリル素材に覆われている部分は汗の蒸発が非常に悪く、不快感が続いてしまいます。季節を選ぶ繊維と言えるかもしれません。

 

シルクライクな繊維とは?


シルクライクな生地にはポリエステル100%で織られたサテン生地があります。
サテンは朱子・繻子(しゅす)という織り方の生地のことで、素材に関係なくこの織り方の生地はサテンと呼ばれます。
朱子・繻子織の生地は、たて糸と横糸のどちらか一方だけが表面に見えています。デコボコとした質感が少ないので、肌触りがトゥルンと滑らかになるのです。
光るようなツヤと落ち感、流れるようなドレープ感、上質な肌触りはビックリするほどシルクに近いですよ。

 

ポリエステル100%サテンのメリットは?

サテンのメリットはフォーマルウェアにも使用されるくらい質感が上品なこと。
上の写真を見てもわかるとおり、上品なツヤは他の化学繊維ではなかなか出せない質感です。
トゥルンとしたどこにもひっかかりがないとろみ感も魅力。コートの裏地にもよく使用されています。

 

シルクライクなサテンにもデメリットはある?

サテンはあまり強度が高い生地ではありません。
摩擦と引っ張りに弱く、変形してしまうと元には戻りません。あまりにも強い強度がかかってしまうと生地がビリっと裂けてしまうこともあるくらいですので丁寧に取り扱いましょう。

お洗濯にも強くありません。アイロンNGなことも多いです。
必ず洗濯表示タグを確認して、適した方法でお手入れして下さいね。

 

素材を知ればますますファッションが楽しくなる!


今回はウールライクとシルクライクをご紹介しましたが、「コットンライク」「アルパカライク」「カシミアライク」など天然繊維ライクな生地はほかにもあります。

なお、天然繊維ライクな生地は、あくまでも化学繊維、または天然繊維+化学繊維になるので、天然素材が持つ本来の良さまで完全再現されているわけではありません。
例えば、肌が弱くてすぐにチクチクかゆくなるからシルクにこだわりたいという方にはシルクライクな衣類は合わないこともあるでしょう。

しかし、化学繊維または混紡でできている衣類も、特徴をしっかり把握すればデザイン性と機能性を楽しむことができますよ。
これからもぜひファッションアイテムの素材に注目してみて下さいね。