「フリーサイズ」は大きいサイズじゃない?フリーサイズと上手に付き合う方法


日本国内で販売されている洋服のサイズは、XS・S・M・L・LLなどのわかりやすいものが多いですが、サイズ表記に「F」「free」などと書いてあるものもあります。
これらは「フリーサイズ」を表しているのですが、中には「フリーサイズを買ったのに小さくて入らない(涙)」という人もいます。
フリーサイズはどのような人に向けて作られているのでしょうか?

フリーサイズってどんなサイズ?

そもそもフリーサイズがどのような設定でつくられているのかというと、様々な体型の人が着られるようにデザインされた服を指すのですが、ここで注意が必要なのが「誰でも着られるサイズ」ではないということ。

フリーサイズという言葉の印象から「大きなサイズ」「ゆったり着られそうなサイズ」をイメージするかもしれませんが、そうではなく「ワンサイズ」を指すと考えておく必要があるんです。

実際、フリーサイズで作られている洋服のほとんどがS・M・Lなどの既存のサイズ展開は用意されておらずFサイズのみになっています。
フリーサイズは「この洋服は1つのサイズ展開になっています」という意味に捉えておくと失敗しにくいですよ。

 

FreeSizeは海外でも通じる?

FreeSizeは和製英語になり、英語圏の人には通じない言葉です。
海外の衣類のサイズ表記に「OSFA」と表記されていたら、これが日本のフリーサイズにあたります。
「OSFA」は「one size fits all」の略で、他にも「one size fits most」と表記されていることもあります。
フリーサイズもOSFAも考え方は同じで、大きなサイズではなく「みんなに向けたサイズ(サイズ展開はワンサイズのみ)」ということになります。

 

なぜフリーサイズで作っているの?

なぜフリーサイズというワンサイズで洋服を作るのかというと、デザイナーのこだわりももちろんあります。
しかし、通常の衣類のように男女の体格差を考慮して、さらに体型に合わせたサイズをいくつも展開するということは、サイズ展開の手間もかかりますし在庫リスクと売れなかったときのロスも大きいということになります。
フリーサイズにしておけば1種類のサイズでたくさんの人が着られる洋服になるので、サイズ展開をするよりもコスト削減もできますしロスも少ないのです。
フリーサイズは、どちらかというと売り手側の理由によるものというところが大きいでしょう。

 

ブランド価値が高まった事例も!

あるブランドが作ったフリーサイズのスキニージーンズ。これが超超超細身のジーンズで、標準サイズの人でもピッチピチで履けないということがありました。
履ける人の方が少ないくらいだったのですが、これが逆に「選ばれた人だけが履けるジーンズ」となってブランドの価値を高めたのです。
わりと近年まで、モデルも細ければ細いほど美しいとされていましたので、こういうことがあったのでしょうね!

 

フリーサイズの着用感。大きめになるの?


私たちがフリーサイズの洋服を選ぶときは十分に注意しなければいけません。
フリーサイズには決まった大きさはありません。作り手と売り手がサイズを決められるので、同じフリーサイズでもブランドやショップによって着用感も見た目もかなり大きく異なることを覚えておきましょう。

「フリーサイズ=オーバーサイズ」ではない

「フリーサイズ=オーバーサイズ」でもありません。
フリーサイズは標準的なサイズを中心に幅広い人が着られるように作られています。
例えばサイズ展開がS・M・Lのブランドの場合、標準はMになりますので、この場合は「フリーサイズ=Mサイズ相当」ということになります。
細身の人、小柄な人が着用したらややゆったり、標準体型の人が着用したらジャストサイズ、グラマーさん、ぽっちゃりさんが着用したらぴっちりになる可能性があるでしょう。

さらに、トップスのフリーサイズはMサイズ相当なのに、スカートのフリーサイズはウエストが緩いのにヒップはパツパツ!なんてこともあります。
買う側としては困ってしまいますが、様々な体型の人向けのワンサイズでの展開なので、こういうことがあっても仕方がないのです。

 

ゆったり着られるフリーサイズもある

ここ数年、ジェンダーフリーなビッグサイズ、オーバーサイズが大流行していますので、オーバーサイズのものをLLやXXLなどの表記ではなくフリーサイズとして作っているブランドもあります。
この場合は、普段から大きめのサイズを愛用している人でもゆったりと着られるフリーサイズになります。

フリーサイズとひとことで言っても、サイズ感は1着ごとにバラバラだと言った方が良いかもしれませんね。

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絶対に失敗したくない!フリーサイズの洋服の選び方

フリーサイズの洋服をジャストサイズで着たいとか、ゆったり着たいからフリーサイズにしたいなどみんなの希望はさまざまですが、絶対に失敗しない方法が2つあります。

失敗しないフリーサイズ選び1:試着する!

どんな洋服を買うときも試着をおすすめします。買った後に後悔しないためには面倒でも試着は必須です。
S・M・Lなら自分のサイズも分かりやすいのですが、ワンサイズで様々な体型をカバーしようとしているフリーサイズなので、自分の体型に合っているかは着てみないとわかりません。

お店に行けない場合でも、ネット通販でも試着できる購入方法が増えていますので、フリーサイズの洋服は試着してから購入することをおすすめします。

試着したら必ず試着室から出て、やや離れたところから全体をチェックして下さい。
正面だけでなくサイドと後ろ姿のサイズ感も確認するようにしましょう。

 

失敗しないフリーサイズ選び2:実寸をチェックする


ネット販売の洋服には、S・M・L・Fなどのサイズ表記の他に、実寸が書かれていることがあります。
実寸は洋服を実際に測ったサイズになりますので、お手持ちの衣類と比べてみたら着用感を把握できます。

 

変わり始めた洋服のサイズ規定

S・M・Lなどのサイズ表記はJIS規格によって決められているのですが、ここには日本アパレル工業技術研究会が1992年~1994年にかけて、男女約1万人を実際に採寸して標準ヌード寸法を測ってサイズを規定したという涙ぐましい努力があります。

この中にはフリーサイズの規定はないのですが、実は2023年3月20日に衣料品のサイズに関するJIS改正が行われたんです。

主な改正としては、JIS規格にSS・3L・4L・5L・6Lサイズと男女兼用サイズが追加されたことが挙げられます。
成人男子用衣料サイズ規定は、これまでS・M・L・LLだったのですが、ここにSS・3L・4L・5Lサイズが追加されました。
成人女子衣料サイズ規定は、これまでS・M・L・LL・3LだったところにSS・4L・5L・6Lが追加されました。

男女兼用サイズについてはデータ収集・解析と規格化の準備段階として、男女兼用サイズの考え方を浸透させるために枠組みだけが決まった形になります。
具体的な寸法は衣料の製造業者や販売業者が許容範囲とする値を表示して良いことになっています。


出展:日本アパレル工業技術研究会「経済産業省から新衣料サイズに関するプレスリリースが行われました。(PDF)」

1992年~1994年と比較すると日本人の体型も変わってきていますし、インバウンドによって様々な体型の方が日本国内で洋服を購入することも考慮しなければいけません。
洋服のサイズに関する規定が時代に合わせて変わっていくのは当然のことと言えそうですね。

 

上手に選んでフリーサイズを楽しもう!

ただ、フリーサイズに関する規定は設けられていないので、今後もフリーサイズのサイズ感、着用感は、ブランドやお店によって異なることになります。
可能な限り試着する、実寸を探してみるという2つのアプローチで、フリーサイズの洋服をぜひ楽しんで下さいね!