2001年のミュージカル映画「ムーラン・ルージュ」は、踊り子と若い作家のラブストーリーです。主演のニコール・キッドマンとユアン・マクレガーの歌と豪華なセットや華やかな衣装が話題になりました。
本記事では、ニコールキッドマン演じるムーランルージュのスター、サティーンのセクシーな衣装を中心に、洋服の持つセクシーさについてお伝えします。
映画「ムーラン・ルージュ」の衣装
映画「ムーラン・ルージュ」は、19世紀末のムーラン・ルージュの雰囲気や時代を反映した衣装が見ものです。当時の衣裳を同様に再現したものではなく、2000年代の観客にも受け入れられるスタイルにアレンジされたと言われています。
衣裳のデザインは、キャサリン・マーティンとアンガス・ストラティが共同で関わっており、セクシー系の衣裳ながらどこか可憐さを感じさせる点が特徴です。
カンカンダンサーの衣裳について
映画「ムーラン・ルージュ」の衣装のなかで、見逃せないのがフレンチカンカンを踊るダンサーの衣裳のデザインです。ペチコートとパンティを見せるための、エキサイティングな衣裳がなんとも言えません。
出典元:https://ashiotofilm.com/2019/02/12/moulinrouge2001/
フリフリのひだが重ねられたボリューむたっぷりのカンカンダンサーのスカートは、1着仕上げるのに1週間かかったそうです。
ちなみに、19世紀のカンカンダンサーたちのスカートの下はノーパンだったそうですが、映画ではセクシーながらも品のいいランジェリーを身につけています。ガーターベルトやカラフルなストッキング、ロココ調に縁どられたペチコートは、まさに衣裳という名の芸術です。
劇中ではなんと400着以上ものセクシー系の衣裳が使われています。
ニコールキッドマン演ずるムーランルージュのスター、サティーンの衣裳
美しいドレスやきらびやかなジュエリーで着飾ったニコール・キッドマン演ずるムーランルージュのスター、サティーンは、1940年代の「ディーバ(歌姫)」のイメージ」を取り入れ、アレンジが加えられたオリジナルな衣裳です。ちなみにディーバとは、ここではオペラ界のプリマドンナのイメージだとされています。
出典元:https://ashiotofilm.com/2019/02/12/moulinrouge2001/
豪華絢爛な白を基調としたドレスだけでなく、赤のキャミソールドレスや、セクシーな黒のランジェリードレス、フワフワのファーがついたロマンチックなドレスなどは、セクシーでありながらもどこか上品さを感じさせます。
エロティックになりすぎないのはデザイナーのセンスでしょうが、170㎝以上あるニコール・キッドマンのスッキリとした体形と凛としたたたずまいが、「セクシー&エレガンス」をかもし出しています。
また、撮影に使用されたニコール・キッドマンがつけた約1億2千万円の豪華ネックレスも見事です。衣裳の参考にされた映画はマリリン・モンロー主演の「百万長者と結婚する方法」、マレーメイ・ブリット主演の「嘆きの天使」、リタ・ヘイワース主演の「ギルダ」と言われています。
セクシーとは?
「性的魅力を感じさせるさま」をセクシーと言いますが、その解釈の仕方は様々です。妖艶、淫乱、卑猥といったマイナスイメージの解釈から、色香、色気といった一般的な解釈、さらにコケティッシュ、チャーミングといったプラスイメージの解釈まで、映画鑑賞をする人の受け止め方によって、「ムーラン・ルージュ」の感想は違ってくるでしょう。
セクシーさを取り入れた2022年の今風のファッションについて
2001年のミュージカル映画「ムーラン・ルージュ」を見ていると、1980年代後半から1990年代の日本全体が景気がよかったころを彷彿とさせます。今でも時折テレビの映像などで映し出されることもある、バブル時代のジュリアナで踊っている、あのシーンです。なんと、この一世を風靡したゴージャスなコーデが、2022年の春夏コーデでも取り上げられているのです。
世界的に「ファッションは20年から30年の周期で変化する」とも、「流行は繰り返される」とも言われています。日本のファッション界でもバブル時代のファッションを今風にアレンジし、「好景気だった当時を再び」との思いがあるようです。
バブル時代のリバイバルファッションとは?
出典元:https://allabout.co.jp/gm/gc/476738/
近年、バブル時代のファッションの定番だったアイテムが今風になって、リバイバルしています。昨年の秋冬から、肩パッドやボディコンファッションをパリコレなどでも多く見かけるようになりました。
しかし、当時のデザインがそのままリバイバルしているのではなく、雰囲気だけを生かして今風にアレンジされています。バブル時代のファッションを今風にした特徴としては、シンプルでカジュアル、プラス可愛さとセクシーさです。
女優でもなくモデルでもない一般の人がセクシーなファッションを今風に取り入れる場合は、フォーカスポイントを1ヵ所にしぼることです。
例えば、深いVネックのセーターをチョイスした場合は、シンプルなスカートやパンツにしましょう。ボトムスにスリットの入ったスカートや、肌見せパンツは控えるようにすると、洗練された印象のコーデになります。
「Y2Kファッション」について
世界的なブームになっている「Y2Kファッション」とは1990年代半ば~2000年代終わりに生まれた世代のファッションですが、2000年時代に活躍したセレブやポップスターの着こなしがお手本になっています。
リバイバルで目立つのは、「肌見せファッション」ですが、当時のようにセクシーさがアピールされたデザインではなく、「健康的な肌見せファッション」が主流です。
短め丈のトップスや腰ではくデニムでお腹をチラ見せしたりするコーデの、キュートな感じが象徴的です。
2000年時代に活躍したセレブやポップスターが着こなしのお手本
今期のリバイバルで目立つのは「ヘルシーな肌見せ」です。バブル時代のボディコンとは違って、もっと健康的な見せ方です。メンズアイテムとのミックスでジェンダーレスに仕上げています。
デザイン的には、部分的にお腹をチラ見せしたり、スカートにスリットを入れて、脚線の美しさをアピールするなどが特長です。また、布を切り取るカットオフやカットアウトの技法を取り入れたドレスなども目をひきます。
ファッションはエイジレスの時代に
女性の健康年齢が長くなり、歳を重ねてもファッションが楽しめるようになりました。妻らしく、お母さんらしくといったことを考えず、自分が着たい服を着るシニアが増え、日本でも年齢を意識しないコーディネートで街を歩くシニアが増えました。
一方で、シニア世代がセクシーな装いをしょうものなら「いい歳をして」と眉をひそめられるといった話も耳にします。
しかし、海外では70歳以上の現役モデルも活躍しています。
また、「H&M」は2016年に公開された「94歳のニューヨーカー」主演の100歳のアイリスさんとのコラボレーションを決定しています。日本でもファッションブランド「GU」の2022年春夏ファッションは、ジェンダーレスとエイジレスな商品を全面に提案しています。
国境や世代を越えて愛される「ムーラン・ルージュ」
映画「ムーラン・ルージュ」の衣装ひとつとっても、セクシーで可愛いと感じる人もいれば、卑猥と感じる人もいます。若い世代の肌見せファッションは許せても、シニア世代の肌見せは品がないという人もいます。
しかし、本人が好きなファッションは、着る人をハッピーにさせてくれます。適度なセクシーさを取り入れたファッションは、今後ますます世代を超えて愛されることでしょう。