1970年代のファッションアイテム流行史

1970年と言えば、日本で大阪万博が開催された年です。翌年には、マクドナルドの日本一号店が銀座に開店しました。カップヌードルが発売されたのもこの年です。
そんな中で、1970年代のファッション界では、カラフルで個性的なアイテムが次々と登場しました。半世紀以上も前のファッションです、それらは現代でも色あせずに多くの人の支持を受けています。
そこで本記事では、1970年代に流行したファッションアイテムについてお伝えします。

ジーンズファッション

ジーンズは1870年当初は作業着として用いられるとともに、カーボーイファッションの象徴となりました。その後はカジュアルファッションとして、世界中の老若男女を問わず多くの人に愛されてきました。
そして100年の時が経ち、1970年代になると、ジーンズを取り入れたファッションがさらに注目を集め、おしゃれの定番アイテムとなりました。その背景となったのは、テニスやサーフィンなどのアメリカンスポーツの人気です。そしてアメリカンカジュアルの主役であるジーンズだけでなく、ジーンズと相性の良いトレーナーやTシャツなどのアイテムも流行しました。特にベルボトムやホットパンツが話題を集めていたと言われています。

ベルボトム

出典元:https://buzzap.jp/news/20191112-bell-bottoms-1970s/

ベルボトムとは、股上は身体にフィットし、膝から裾に向かって広がっているデザインで、ベルの形に似ていることろから、ベルボトムと言います。
日本では「パンタロン」や「ラッパズボン」「ブーツカット」とも呼ばれています。

ホットパンツ

出典元:https://middle-edge.jp/articles/I0000891

1967年にツイッギーが来日したことで、ミニスカートが大人気となりました。その影響から、ホットパンツが若い女性を中心にカジュアルスタイルとして、流行しました。

フォークロアファッション

フォークロアとは、民族衣装をイメージしたファッションスタイルです。ワンピースやチュニック、ティアードスカートなどのアイテムが多くみられます。

出典元:https://ameblo.jp/attractystyle/entry-12252489073.html

フォークロアファッションは世代を超えて楽しめるファッションとして、2000年代に入ってからも支持されています。

ケンゾー(高田賢三)とフォークロアファッション

フォークロアファッションと言えば「ケンゾー」と言われるほど、アジア各地やアフリカなどの民族衣装を多く発表しています。1973年には、エスニックなビッグルックを打ち出すなど、話題性のあるファッションが若者に支持されました。
1973年の農民ルックを皮切りにペルー、中国、アフリカ、エジプトなど、毎年斬新でエキサイティングなショーを繰り広げて、当時大人気のファッションリーダーでした。

サファリルックファッション

アフリカの草原地帯でサファリ用に着用されていましたが、1969年にイヴ・サンローランがサファリルックを発表したのをきっかけに、このサファリルックが1970年代に大流行しました。

出典元:https://www.afpbb.com/articles/modepress/3025738?pid=14404927

イヴ・サンローランとサファリファッション

イヴ・サンローラがサファリルックを発表したことで、エレガンスなモードファッションとして注目を浴びることになり、女性の間でも人気になりました。

アランセーター

アランセーター は、アイルランド西岸のアラン諸島で女たちによって編まれたものです。縄編みの柄が浮き出すように編み込まれた白いセーターで、1970年代の初めに大流行しました。
このセーターの手編み模様はそれぞれの家によって違います。漁に出た家族が、もしも水難に合っても、模様で身元が分かるといった「悲しみと祈りと、豊漁を願う」独特のセーターでした。
このセーターに注目したクリスチャン・ディオールがアメリカに広げたと言われています。

ニュートラ・浜トラ

ニュートラとは、ニュートラディショナルのことで、1970年ごろから日本で流行しました。発祥地は兵庫県神戸市で、このファッションを取り上げた「an・an」がニュートラと紹介したのが人気の発端となります。
一方、浜トラとは、神奈川県横浜市で生まれたファッションスタイルです。ニュートラの基本はトラッドですが、トラッドとは、きっちりとしたスタイルのことです。
海外高級ブランドの商品を合わせてコーディネートするスタイルがニュートラの基本スタイルで、シャネル、グッチ、フェンディ、エルメス、イヴサンローランなどの有名ブランドなどの高価なバッグが1970年代には大流行しました。
ニュートラはフォーマルにも着こなしができるため、大人の女性にも支持されましたが、浜トラはキャンパスファッションが主流だったため、若い世代が中心でした。
ニュートラは2020年代になっても世代を超えて「ニュートラ派」としてその存在が確立されています。

1970年代に活躍したデザイナー

1970年代のファッションシーンは、既に圧倒的な地位を確立したイヴ・サンローランとケンゾーがファッションリーダーに君臨します。
フォークロアファッションのケンゾー、サファリルックファッションのイヴ・サンローランの他にも1970年代には、イッセイ・ミヤケ、カステルバジャック、ソニア・リキエルなどが活躍します。

イッセイ・ミヤケ

1970年に三宅一生が「三宅デザイン事務所」を設立します。翌年の1971年には、ブランド「ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ)」として、ニューヨークでコレクションの発表をします。

デザインの特徴としては、「布をまとう感覚」に重きをおいたオリジナルなファッションで、人気を呼びました。

カステルバジャック

カステルバジャックは1974年、フランスで創立されたファッションブランドです。創業者のカステルバジャック氏は、 いち早くパリコレクションに迷彩柄やキャラクタープリントのコレクションを発表したことで有名です。
アートとファッションを融合させた、カラフルでカジュアルなファッションが若者に支持されました。

ソニア・リキエル

ソニア・リキエルは1963年にパリの百貨店ギャルリ・ラファイエットにて、プレ・デュ・コール(身体を意識させる服)として、ニット生地のトータルファッションのブティックを開店します。これがきっかけとなり、アメリカや日本などの海外都市にも支店網を広げます。
今までニットは家庭着として扱われていましたが、ソニア・リキエルによってニットのセーターやカーディガンがおしゃれ着として格上げされました。

オートクチュールとプレタポルテの違いは?

オートクチュールとは、その人ために作られた服であり、一方プレタポルテとは、大量生産された服です。

オートクチュールとは

高級仕立服のことで、顧客から注文を受けてから仕立て上がるまでの一連の作業を、手作業で行います。オートクチュールは、1860年に皇室御用達として始まりました。
その後も富裕層向けとして需要が多かったものの、1970年代からはオートクチュールが減少し、オートクチュールの正式加盟店も少なくなってしまいました。

プレタポルテとは

プレタポルテとは、すぐ着られる服という意味です。プレタポルテは単なる既製服ではなく「高級既製服」と訳されるように、高級感があり、富裕層の生活スタイルを満足させるものでした。
プレタポルテは、アパレルメーカーが既定のサイズに基づいて大衆に向けて大量生産し、小売業者が販売を行いますが、おしゃれでありながら機能的で、比較的低価格で購入できるため、広範囲の消費者層の支持を得るようになりました。

ファッションの創世記である1970年代

1970年代のファッション界では、カラフルで個性的なアイテムが次々と登場しました。アメリカンカジュアルの主役であるジーンズを筆頭に、フォークロアファッションやサファリファッションも今なお健在です。
1960年代頃までは、おしゃれができるのは一部の富裕層でしたが、1970年代にはプレタポルテが普及するようになり、庶民もおしゃれができるようになりました。

今なおこれらのファッションが愛されているのは、先人への畏敬だけでなくそれらの魅力が現代でも通用するものだからでしょう。