2010年代はファストファッションのピークを迎えます。「ザラ」や「H&M」、「トップショップ」といったファストファッションブランドが急成長し、各国に出店数を伸ばし、お手頃価格で最新のトレンドアイテムを手に入れられるようになりました。
また2010年代後半には、ファッションにもジェンダーフリーの要素が取り込まれ、男女一緒でのファッションショーも催されるようになりました。2010年代は、モード界の動きが大きく変わっていった時代と言えます。
2010年代前半に流行したファッション
2010年代前半に流行したファッションの特徴は、比較的手に入りやすいファストファッションが憧れのブランドとして格上げされたことではないでしょうか?
「価格に関係なく気に入ったものを着まわすのがおしゃれの達人」という考え方が広まったのが、2010年代前半です。
「ザラ」とキャサリン妃について
「ザラ」は、スペインのラ・コルーニャ発祥の世界的流通大手のアパレルブランドで、レディース、メンズ、キッズ、ベビーファッションを取り扱っています。日本では1998年に渋谷店がオープンして以降、日本各地へと拡大しています。
出典元:https://www.keyoperation.com/archives/projects/zara-shibuya/
「ザラ」が一躍有名になったのは、ワンピース、コート、スキニーに至るまで、キャサリン妃が「ザラ」を各シーンで着用したからとされています。キャサリン妃が、2011年に行われた結婚式の翌日、バッキンガム宮殿からハネムーンへと飛びたった日の衣装は「ザラ」のブルーのワンピースでした。
そこでキャサリン妃が着用していた、49.99ポンド(約¥7,600)という超コスパアイテムのファッションが話題になりました。その他にもキャサリン妃は、2012年のロンドンオリンピックでは、「ザラ」のドット柄ブラウスを、2014年のコモンウェルス・ゲームでは、ネイビーのダブルボタンのブレザーを着用しています。このブレザー姿が、とびっきり素敵で、79.99ポンド(約¥12,200)というお手頃なお値段だったことから世界中から問い合わせが殺到したそうです。
キャサリン妃によって、「ザラ」の人気が世界中に広まったきっかけと言っても過言ではないでしょう。
「H&M」の服を愛用する芸能人
出典元:https://www2.hm.com/ja_jp/life.html
「H&M」は、1947年、スウェーデンのヴェステロースにブティック「へネス」を開いたことをきっかけに誕生し、後にH&Mに社名が変更されました。最良の価格でファッション性とクオリティを提供することをコンセプトとし、世界各国で展開したファストファッションです。
芸能人の間でも人気が出て、人気モデルのローラや紗栄子、本田翼、西内まりや、マギー、高橋愛、 小松菜奈、西野七瀬、高橋愛、浜辺美波などが好んで着用していました。
芸能人もハイブランド品にこだわらずファストファッションを楽しんでいることが分かると、多くの人たちが「H&M」の商品を着用するようになりました。
トップショップは海外セレブに人気
トップショップは、1964年にイギリスのロンドンに創設された創業50年以上の人気ブランドで、日本では、2006年に原宿に日本での1号店をオープンしています。
デザイナーはジェーン シェパードソンで、アイテムには、カットソー、タンクトップ、ミニワンピース、ニットワンピース、シフォンワンピースなどがあります。愛用者は、アギネス・ディーン、ケイトモス、サラ・ジェシカ・パーカー、ビヨンセ、リンジー・ローハンなど、海外セレブに支持されています。
たくさんの芸能人や有名人が愛用していることでも知られており、少しゴージャスなセレカジ系アイテムが多いのが特徴です。
2010年代前半に流行したファッションのまとめ
2013年頃からインスタグラマーと呼ばれるファッショニスタがモード界で絶大な影響力を持つようになります。彼女たちが着こなし、タグ付けするアイテムが世界中で飛ぶように売れるようになりました。またインターネットの普及から、オンラインショッピングが当たり前になり、ファストファッションが全盛期を迎えます。
2013年の10月にはノーマルとハードコアを組み合わせた「ノームコア」という言葉が生まれます。「ノームコア」とは、Tシャツやスウェット、スニーカー、デニムなど普通の服をさらっと着るファッションのことであり、2014年に大流行します。スタイルアイコンとして有名だったのは、貴族出身のパリジェンヌのカロリーヌ・ド・メグレです。
2015年になると、ジェンダーフリースタイルと呼ばれるストリートとラグジュアリーを合わせたスタイルが支持され、「アレキサンダー ワン」や「3.1フィリップ リム」、「ラグ&ボーン」「プロエンザ スクーラー」などのニューヨークブランドが全盛期を迎えます。
2010年代後半に流行したファッション
2010年代後半に流行したファッションの特徴は、ジェンダーレスファッションでしょう。ストリート系ファッションの流れをくむブランドに人気が出ます。
また、ロゴファッションも支持され、スポーツアイテムをデイリースタイルに取り入れたファッションスタイルが定着した時代です。
アスレジャースタイル
出典元:https://senken.co.jp/posts/ass-leisure-newyork-160526
2016年に流行したのがアスレチックとレジャーを組み合わせた「アスレジャースタイル」です。トラックパンツやスウェットパーカー、サイクリングパンツなどのスポーツアイテムを、デイリースタイルに取り入れたファッションは、男女の区別なく楽しめるジェンダーレスのファッションです。このアスレジャースタイルは、トップモデルやファッショニスタの私服から生まれ、メジャートレンドとして浸透しました。
2010年代後半は、「オフ-ホワイトc/o ヴァージル アブロー」や「ヴェトモン」、「シュプリーム」などのストリート系ブランドが人気となります。中でも天才的なセンスを持つヴァージルは、黒人デザイナーとして活躍していました。彼は初めてのショーで、一番最初にフォーマルからカジュアル、スエットからファーまでさまざの、純白のルックを紹介しましたが、着こなすのは皆、黒人モデルでした。建築を学んだ後に音楽の世界へ、その後ファッション界に入り、自らのブランド「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」を立ち上げます。
ストリートスタイルを確立し、初めてのショーで絶賛を浴びた後、自身の泣いている後ろ姿をインスタグラムに上げ、「You can do it too…(君にもできるさ)」との一文を付け加えことが話題になりました。
コペンハーゲン・スタイル
出典元:https://trilltrill.jp/articles/230449
2018年には、4大都市のファッション・ウィークとは別に、盛り上がりを見せたのがローカルファッション・ウィークでのファッションです。中でも注目を集めたのが、コペンハーゲン・ファッション・ウィークで、「セシリー・バンセン」や「ガニー」、「スタウド」などが注目されました。
1990年代に流行したアイテムが再燃
2019年は数々のトレンドが誕生したものの、多くの海外セレブたちが、1990年代に流行したアイテムを好んで着用しました。マムジーンズやレザーアイテム、スリップドレスといったアイテムを、ケンダル・ジェンナーやヘイリー・ビーバー、カイア・ガーバーといった次世代が取り入れ、再度人気となりました。
2020年代のファッション今後どうなるか?
近年、ファッション業界では、「ファッションテック」というキーワードがポイントとなっています。これは、ファッションとテクノロジーを組み合わせた造語ですが、今後デジタル化に成功した企業の見通しは明るいと言えます。
また、ファッションテックにシェアリングエコノミーを取り入れたファッション業界も伸びています。これは、最近話題の「洋服のレンタルサービス」です。
今後のファッション業界は、ますます多様化するでしょうが、消費者層は地球の未来を考えたファッションに目が向けられているようです。
個人でもファッションの流行を作れる2020年代
2010年から2020年にかけて、皇室の方や有名芸能人がファストファッションを素敵に着こなす姿をネットなどで見かけるようになります。そこで、多くの人がファストファッションに興味を持ち、ファストファッションブランドが急成長しました。
流行が繰り返される中で、ファストファッションブランドは格上げされましたが、2020年代に入り、ファッションは消費者がライフスタイルによって自ら選択する時代となりました。また有名人だけでなく、インスタグラマーなど個人が影響力を持つ時代で、これからのファッション業界はどうなっていくのでしょうか?