ファッションデザイナーの仕事ってどんなもの?(2)  

ステキな服はどんなふうにデザインされるのか?

「ファッションデザイナーの仕事ってどんなもの?(1)」では、デザイナーのスケジュールや、コレクションのコンセプト(テーマ)がどんなものから発想されるのか、について語りました。

そしてこの記事では、「コンセプトが決定した後は、服はどんなふうにデザインされていくのか」について語っていきます。

デザイナーは美しい服を作り出すやりがいのあるお仕事ですが、実際は華やかなことばかりでもないかも…?

デザイナーさんのお仕事の面白い部分も、大変そうなところも含めて、ご紹介していきたいと思います!

 

素材と洋服デザインの「切っても切れない関係」

前記事で解説したように、たとえば数学の理論(※イッセイミヤケ 2010-11 年秋冬コレクション)や音楽や芸術などからインスピレーションを得て、コレクションのコンセプトが決定したら、続く作業に入っていきます。「素材選定」のステップです。

洋服デザインの考案と切っても切れないのがこの「素材選定」の作業なのです。

「素材」とは、洋服に使う生地(テキスタイル)をはじめ、ボタンやジッパー、ベルトのバックルなどです。

デザイナーさんとひと口に言ってもさまざまなタイプの人がいるようですが、まず初めに服のデザインをデザイン画(ファッション画)に描いてから生地を選ぶ人と、その逆に生地から洋服デザインを着想していく人もいるようです。

 

あるデザイナーさんは、既製の生地ではなくて、オリジナルの生地作りから始めて、色柄を染めて、布を作り上げると同時に洋服デザインを決めていくというやり方をしています。

また、テキスタイルデザイナーと相談しながら色柄を決め、生地をゼロから製造して、デザインした洋服の製作に使う場合もあります。

既製の生地から選ぶ場合は、デザイナーさんが生地業者と打ち合わせをしつつ、たくさんの生地見本を見ながら選んでいくようです。

糸の見本、ボタンやジッパーの見本もあるので、イメージしている服を実現できるような素材をひとつひとつ選んでいくことになります。

洋服デザインを考えるうえで、どんな布を使うかはとても重要な要素なので、デザイナーは、いつも常に洋服の素材の情報を集めているのです。

デザイナーさんが「コレだ!」と思うような生地を見つけなければ、そのデザイナーらしい洋服は完成しません。

まさに、服の素材選びとデザインは「切っても切れない関係」。

いい素材あってこそ、いい洋服が生まれるのですね。

 

そしてついにデザイン画に着手!

服の製作のために、素敵な生地やボタンを確保できたら、次はついにデザイン画を描いていくことになります!

多くの人がイメージする「ファッションデザイナーの仕事」と言えば、このデザイン画(ファッション画)を描くステップを指すのではないでしょうか?

しかし、ここに至るまでが意外に長かったと思いませんか?まずはスケジュールを組んで、次にコレクションのコンセプト(テーマ)を決めて、それから服に使う素材をひとつひとつ選定して…。

そう、実際は、デザイナーさんが鉛筆を手に紙に向き合って、いきなり服のデザインを描き始める、という感じではないんですね!

さて、デザイン画は、デッサン用の鉛筆やシャープペンシル、もしくはボールペンなどを使って描くそうです。画材はデザイナーさんの好みで決めているので、パソコンの描画ソフトだけを使って描く人もいるようです。

 

デザイン画は人物(モデル)が洋服を着た形で描かれます。

その服の特徴、ディティールがよくわかるように、デザイナーの頭の中の洋服のイメージを紙の上に描きあらわしていく作業となります。

デザイナーは、時代の流れを読んで、世の中の人に求められるものを予測し、自分にしか表現できない美しい洋服デザインに落とし込んでいく才覚が必要です。

ただし、見た目に華やかで美しいだけ、という服飾デザインは世の中に通用しません。素材の持つ性質を活かして、衣類として実用的であり、着心地が良いものにしなくてはいけません。

磨き抜かれたお洒落なセンスを発揮することはもちろん、洋服をあらゆる面から知り尽くしていないと、素敵な服をデザインすることはできないんですね。

デザイン画を作る段階では、たとえば年齢は30代くらいの女性で、都会に住んでいて、スタイリッシュなすっきりとしたファッションが好きな人が着る…というように、デザインのイメージは着る人を想定しながら作り上げていくこともあります。

デザイナーさんによって、さまざまなデザイン画の創作スタイルがありますが、中にはたった一回の展示会のために約400型のデザイン画を描く、という人もいます。

 

もちろんその400型のデザインすべてが良い出来ということもなく、ボツにするデザインも含めてそのくらいの数のデザインを作り、その中から良いものを厳選していくのだそうです。

デザイナーさんは、現在手掛けていたシーズンのコレクションが終われば、次のシーズンの作業に取り掛かります。

つまり来年発売の秋冬ものの発表(展示会やファッションショー)が終わったら、すぐ再来年発売の春夏ものの作業に入る、という感じです。プロのデザイナーという職業である限りは、これがエンドレスに続いていくわけです。

他にない美しい洋服デザインを、自分の発想力を発揮してクリエイトしていくことは、もちろんやりがいもあり、とても楽しそうです。

けれど、自分のデザイン発想力の限界と常に闘いながら、お仕事をしている面もあるのでしょうね。

展示会やファッションショーに向けて、作業場にこもりきりで服のデザインと格闘してデザイン画を作るデザイナーさんもいるということですが、まさに「生みの苦しみ」。

素晴らしい洋服デザインが生まれるまでは、やはりデザイナーさんも、「もっともっと良いデザインができるはずだ…!」という苦悩に向き合いつづけなければならないんですね…!

 

ファッションデザイナーの仕事ってどんなもの?(3) へ続く!

さて、一番のヤマ場である「デザイン画(ファッション画)」を描くところまでご紹介できましたが、デザイナーの仕事はまだ終わりません。

ここからは、実際に服が仕立てられ、デザインした服を世の中に発表する場である展示会やファッションショーへと向かう道のりになります。

華やかなファッションショーにいたるまでデザイナーさんがどんな仕事をしているのか、気になるところです!

 

ぜひ、続きも読んでみてください!