今、注目される日本のデザイナーXXXIV~高橋 淳(たかはし じゅん)~

カルチャー、ファッション、少年時代の興味がスタートラインだった


高橋淳氏 参照:https://qui.tokyo/feature/plug-interview-190805

高橋淳氏は、1982年東京生まれ。幼い頃から新潟県で育ったファッションデザイナーです。2009年に独自のグラフィックによるTシャツブランドとして「PLUG(プラグ)」をスタート。現在も新潟県上越市に在住し、地元をベースとしてデザイナー活動を展開しています。心の病気を公表し、現在も闘病しながら積極的に服づくりに邁進する姿は、「ローカル拠点」ということと共に、ファッションの多様性を感じさせます。今回は、多様性やアウトサイダーアート的な魅力を追求するデザイナー、高橋淳氏をご紹介します。

イラストレーターになった兄から大きな影響を受ける

生まれてからすぐに新潟県へと引っ越しをした高橋氏。少年時代に大きな影響を受けたのは、現在イラストレーターとして活動している、絵を描くことが大好きなお兄さんの存在が大きかったようです。「小学校に入学したころから、兄の影響で絵を描くようになって。『ドラゴンボールZ』『幽遊白書』『スラムダンク』など当時人気のあった漫画を自由帳に模写していました」と、語るように、後のTシャツづくりに活かされる、独創的なグラフィックの原型は、このときに育まれたのかもしれません。
また、お兄さんからの影響は絵だけにとどまらず、スマッシング・パンプキンズやビョークなどの音楽やカルチャーにおいても、多くの影響を受け、現在の服づくりにも、その記憶や感性がつながっているといいます。

シルクスクリーン印刷でTシャツブランドをスタート


参照:https://www.plug1982.com/posts/36882157

もう一人、高橋氏が大きく影響を受けたと語るのが、中学校の同級生でした。「中学生ながら、ヴィヴィアンやアンダーカバー、マルジェラとかハイブランドを着ていたんですよ。音楽もモンド・グロッソとかフィッシュマンズとか渋谷系のようなのを聴いてて。彼からいろんな情報を教えてもらい、洋服や音楽など“オシャレ”というものに興味を持つようになりました」と、高橋氏が言うように、その同級生に出会ったことで、洋服への興味が大きくなっていったようです。
ただ、高橋氏は中学校を卒業すると、心の病気を患ってしまい、数年間目標も持てずに闘病を続ける成果るが続いてしまいます。そのときに転機となったのが、父親が勧めてくれたシルクスクリーン印刷でした。
何気なくTシャツをプリントしてみたところ、非常にできが良く感動した高橋氏は、すぐにTシャツブランド、現在の「PLUG(プラグ)」を設立。定期通院していた長野でストリートスナップの団体と交流し、ファッションショーなども開催、活動を活発化させていったのです。

個性的なものを生み出す自信

心の病にかかり、現在も闘病中だということを公表、さらにそれを「アイデンティティとして受け入れている」と言う高橋氏。そのアイデンティティから、自分独自の「個性的なもの」を発信し続けています。

多様性を表現するブランドでありたい


参照:https://www.plug1982.com/posts/36882157

高橋氏が目指すファッションは、自ら「オルタナティブ」、あるいは「アウトサイダー」などと表現されるほど、流行に左右されない個性が特徴です。自らのブランドであるPLUGも、さまざまな個性を発揮できる、多様性をテーマに、得意のグラフィックTシャツなどのアイテムを展開しています。
「僕は服飾の学校を出たわけでもなく、基本的な知識も欠如していますが、個性的なものを生み出すってことだけは自信があります。制約とかテーマに縛られず、日常的に生まれてきた好奇心や感情、インスピレーションに従って自由に作る方が自分にあってるのかなと」と、語る高橋氏。自由な発想がブランドのベースとなっていることがわかります。

ローカル拠点でもブランド展開ができる


参照:https://plug-jun.ocnk.net/product/161

高橋氏は現在も新潟県に在住して、そこを拠点にブランド運営をおこなっています。販売はネットショップが中心で、年に2回、東京で展示会も開催しています。
実際のところ、PLUGは、現時点で大きく注目されているブランドではありません。しかし、「ローカル拠点の限界も感じるが、ファッションの多様性を信じ、自分らしさを貫いた服を一人でも多くのファンに届けたい」と、熱心に語る高橋氏。
その言葉通り、個性豊かなデザイン性は、これから人気のブランドになる可能性も大いにありえます。そうなれば、ローカル拠点でも、アパレル業界で成功できるという前例となり、地方活性化につながるかもしれません。さまざまな期待も込めて、高橋氏は今後注視していきたいデザイナーの一人と言えるでしょう。