ファッションの世界のおもしろさを描いた映画 

みんなが憧れる「ファッション界」

ファッションデザイナー、ファッションモデル、ファッション誌エディター、アパレルバイヤーやブランドアパレルショップスタッフなど…

きらびやかでオシャレなイメージのある「ファッション界」。

ファッションの業界の人たちは、最先端の流行の服を身に着け、さっそうと都会を闊歩し、才能を活かしてイキイキと、自分にしかできない個性的で素晴らしい仕事をしている…。すごく素敵!!

そんな風に感じている方も多いのではないでしょうか?

もちろん、ファッション界の人にとってはそれが日常であり、現実。

そして、そのうえで、もしかしたら部外者には見えにくい苦労も、たくさんあるのかもしれません。

この記事では、2本の映画をご紹介したいと思います。

きらびやかで華やかで美しくてオシャレで、みんなの憧れの「ファッションの世界」を描いた作品です。その裏の、仕事としての苦労や大変さも、スパイスとしてピリッと描かれていて面白いですよ。

「ファッション界」の描き方はそれぞれの映画で異なりますが、「ファッション」の歴史や成り立ちについて、「ファッション業界」というものについて、さらに興味をそそられてしまう作品、と言えます!
さあ、魅惑のファッション界を、華々しく銀幕に描き上げた名作映画をどうぞ!

 

誰も知らない「シャネル」になる前の悔しさ ココ・アヴァン・シャネル

 

映画タイトルの「ココ・アヴァン・シャネル」。

「ココ」は、シャネルがデザイナーとして大成する前、若いころにキャバレーで働いていた時のニックネームだと言われています。

「シャネル」は彼女の本名のファミリーネームから由来します。

では間に入っている「アヴァン」とは?

アヴァン=フランス語で「前」を意味する言葉。英語ではbeforeにあたる言葉です。

キャバレーで歌っていたココが、伝説のデザイナー「シャネル」になる前の話、というわけです。

 

筆者もDVDを持っている作品ですが、この映画はとてもきめ細かにシャネルの心情について描かれています。

シャネルは1883年生まれ。フランスの修道女会が運営する貧しい人たちのための病院で誕生しました。

孤児院で育ち、カトリック女子寄宿舎で過ごした後、裁縫を学んで仕立て屋に就職。寄宿舎や孤児院で過ごす日々では、日曜に両親も親類も面会に来ず、寂しい気持ちを持て余していたといいます。

仕立て屋の仕事では満足にお給料がもらえなかったのか、副業として、キャバレーで歌を歌っていました。

それでもキャバレーでも十分な給料が保証されることはなく、客からチップをもらうため歌っていたそうです。

そんな貧しさのただなかで、シャネルはじきに人と違う才能を発揮していきます。

シャネルが友人、そして愛人として、長くともに過ごすことになる資産家の男・バルザン。(つまり、シャネルのパトロンですね。)

この人は元フランス軍騎兵将校であり、そして繊維業者の縁者だったようで、結果的にはこのバルザンを足掛かりに、シャネルはメキメキと頭角を現していくことになります。

バルザンの提案から「シャネル・モード」というブティックをパリに開店し、そこから伝説的なデザイナーのサクセスストーリーが始まっていきます。

 

「シャネル・モード」の取り扱い品は、まずは女性向けの帽子からだったのだそうです。

そこから、当時のコルセットで締め上げて着用する、フリルたっぷりレースたっぷりの、フリフリドレスを流行からバッサリ締め出して、シャネルはコルセットを着けないワンピースのような黒い服に、パールを幾重にも重ねた超シンプルな「シャネル・スタイル」を確立して、パリのファッショントレンドを引っ張っていきます。

男性のような素っ気のないモノトーンのシックな服は、逆に女性の美しさを引き立てて、ステキに見えるのよ…そんなシャネルにしかない感性で、世の人たちを魅了していくのです。

しかし、キラキラしたデザイナーとしての活躍とは裏腹に、この作品の根っこは実は「シャネルの悔しさ」かもしれません。シャネルの人生と、華々しい伝説的デザイナーとしてのキャリアは「悔しさ」からのガッツで築き上げられたものだったのだ、と感じるのです。

ステキなお金持ちの男性との心躍る恋愛すら、彼女の悔しさや寂しさは救い上げてもらえなかったのかも…。

ツライ思いを抱えた一人の貧しい女の子が、自分にしかない力を発揮し、客の裕福な貴婦人を美しく装わせ、「シャネル」としてファッション界に君臨していくまで…。

いつの時代に見ても、とても魅力的なサクセスストーリーです!

特に仕事を頑張っているファッションデザイナーさんやデザイナーさんの卵の方、オフィスで働く女性に、ぜひ観ていただきたいと思います。

「ぜったい、負けるもんか!」というガッツが生まれること請け合いです!

 

華やかでオシャレなのに「超・ど根性モノ!?」 プラダを着た悪魔

 

「あ~~!こんなブラック企業、もう辞めてやる!!」

どんな仕事でも、毎日一生懸命働いている人なら一度は、このセリフを言ったことがあるのではないでしょうか…!!?

働く人にとって理不尽な要求をされ、ストレスが溜まってしまうことは、どんな会社でも、どんな人でも「よくある事」。

度が過ぎたら、冒頭のようなセリフを言いたくもなりますよね。

しかしこの「プラダを着た悪魔」は、それをはるかに通り越しています。

有名な名作映画なので鑑賞済みの方も多いと思いますが、あらすじはこんな感じ。

高学歴のジャーナリスト志望の主人公・アンディ(アンドレア)は、あか抜けない容姿なのに、なぜかファッション雑誌「ランウェイ」の編集アシスタントとして就職できたのですが、そこから先が「超・ど根性モノ」。

直属の上司である「ランウェイ」の編集長のミランダは、数々のあり得ない要求をつぎつぎに部下のアシスタントに繰り出し、パワーハラスメントとも取れるような無理難題をぶつけてくる「サイアクの上司」だったのです。

いうなればまさに「プラダを着た悪魔」そのもの!!!!

たとえば作中では、確か、

「作者が書き上げたばかりのまだ未発売のハリー・ポッターの新作小説の原稿を手に入れてきて。息子にいますぐに読ませたいから。」

とかいう指令が、編集長ミランダから、主人公アンディに出されます!!!

 

しかし、ここからがこの映画の最高に面白いところ!!!

アンディは、「えっ!?そんなの無理に決まってるでしょ??!」ともいわず、無理難題に面くらいつつも、「ナニクソ!!負けるもんか!!」と必死になって、あらゆる手段を使ってミランダ編集長の要求をこなしつづけ、くりだされる数々の理不尽に耐えながらも、与えられる仕事にやりがいを感じて、職業人としてどんどん自信をつけ、自分のキャリアとしてモノにしていくのです。

この「ランウェイ」という雑誌の元ネタは、日本や欧米はもちろん、世界各国で販売されている超有力ファッション雑誌「ヴォーグ(VOGUE)」だと言われています。

そして実は……アメリカ版「ヴォーグ」の実在の編集長・アナ・ウィンターが、この「プラダを着た悪魔」であるミランダ編集長というキャラクターのモデルだと言われています。

 

実際筆者もアナ・ウィンターに会ったことは無いのでわからないのですが(笑)、アメリカのファッション業界で絶大なコネクションと影響力と発言力を持っていて、ベラボウに仕事ができる「鬼編集長」として名高いらしいですね。

しかも彼女は自分の出身国であるイギリスで2008年に「大英帝国勲章」を授与されていて、名実ともに実力者。もちろん、それは長年の欧米ファッション業界での活躍と貢献ぶりを評価された結果。

アナ・ウィンター様のお顔のお写真をネットで見てみると、

「怒らせたらこわそうだし、めちゃくちゃ仕事できそうだし、部下に厳しそうだし、鬼編集長そのものな感じの見た目。たしかにちょっと…上司になってほしくないタイプのお人…」。

……もちろん服飾業界人らしく、オシャレで、美人で、洗練された女性ですよ!?でも、そういうふうに見えてしまう!!


※こちらの画像は内容とはまったく関係のないイメージ画像です※

 

「プラダを着た悪魔」の面白すぎるポイントは、数え切れないほどあるのですが、筆者としては大好きな場面が2つあります。

1つ目は、ファッション雑誌社に就職したのにまったくあか抜けないまま働くアンディが、華麗に変身する場面。

周りの人は「あなたは雑誌編集者じゃなくって、モデルか芸能人なの???」と言いたくなるようなビシッとした華やかな服装で立ち働いているのに、アンディだけ、最初は「地方から出てきた大学1年生かよ……」と言いたくなるようなダサい服で出勤してます。

それを見かねた(?)ファッション好きの先輩オシャレ男子が「お洒落ってこうやるのよ!!!見てなさい!」と教えてくれて、アンディは見事にキレイにオシャレに変身!!

2つ目の好きな場面は、鬼編集長そのものだと思っていたミランダの意外な一面を、アンディが少しだけ垣間見るところ。

多くを語ってしまいますと、ネタバレになるのでこのくらいにしておきますが、この映画で描かれている、華やかでオシャレなのにど根性が必要な「ファッション業界」は、ファッション業界部外者から見ても、なんというか、泥臭くて、リアルなんです。

こちらもファッションデザイナーの方、ファッション業界への就職を考えている方、デザイナーの卵の方や、アパレルショップスタッフさん、オフィスで働いて頑張っている女性たちに、いちどでいいので観てみてほしい映画。(そして、観た感想を教えて欲しいくらいです……)

「プラダを着た悪魔」を観ると、とにかく、

「理不尽だとか出来ないとか、文句をダラダラ言う前に、目の前にある仕事、与えられた仕事を精一杯、一生懸命、とことんやって勝負すればいいんだ!!」

そんなふうに思えて、晴れやかな気持ちになります。

そして、あしたからも仕事をどんどん頑張れそうな勇気が湧いてきます。

目くるめくファッション業界 やっぱり面白い!!

 

ファッション業界の人たちはオシャレで華やか。ファッション業界のお仕事ってすごく素敵な仕事。

こんなふうに、もちろん思っています。

しかし、紹介した2本の映画を鑑賞すると、オシャレで華やかなだけでなく、ファッション業界で生き抜き続けるには大変な努力と才覚が必要であり、そのうえ海千山千のファッションのプロたちを押さえて勝っていく優れた戦略が必須になるのではないか…と思います。

きっと、選ばれし人しか成功しない、狭き門をずっとくぐり抜けていくような職業なんじゃないかな…と筆者は思います。

ファッション業界の方、ファッションデザイナーの方、ファッションデザイナーの卵の方、ファッション誌エディターさんなどに、ぜひそのあたりの実情を聞いてみたいところです。

 

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