第7回 ファッションデザイナーの基礎知:アパレル販売とファッション業界が抱える問題

半年以上も前から準備を重ねて、みんなの力でようやくできあがった洋服は、バイヤーの手によってさまざまな現場で流通されて私たちが購入できるようになります。

洋服やアクセサリーなどを販売しているお店には、セレクトショップ、百貨店、量販店、ファッションビルなどがありますがこれらを総合して「小売店」と呼んでいます。
また、近年は店舗を持たずにインターネットで販売するECサイト(Eコマース,E-Commerce)によるWEB販売も積極的に行われていて、こちらも小売業にあたります。

百貨店やSHIBUYA109のようなファッションビル、セレクトショップではさまざまなブランドの洋服を取り扱っています。
これら複数のブランドが集まっているお店に対して、ファッションデザイナーの名前がついているお店のことをブランド直営店と呼んでいます。
有名な国内ブランドショップとしてはヨウジヤマモト、UNDERCOVER(アンダーカバー)、Comme des Garçons(コム デ ギャルソン)などは店舗を持っていますし、WEB販売も行っています。
日本のファッションデザイナー→

 

ブランド直営店とセレクトショップの違い


ブランド直営店とセレクトショップは混同されやすいので、ここでちょっと整理しておきましょう。

ブランド直営店とは?

ブランド直営店は主に自社ブランドを販売しているショップになります。
洋服、靴、バッグ、アクセサリーに至るまで、全てを同じブランドで揃えることができます。

大好きなブランドがあるなら、ぜひブランドショップに足を運んでたくさんの洋服を細部までチェックして、デザイナーの感性に触れてみてください。
それからスタッフさんと話をしてみて下さい。ブランドショップでお仕事をしているアパレル店員さんはそのブランドが大好きな人ばかりなので有益な情報を聞くことができますよ。

ファッションデザイナーを目指す人の中には、いつかは自分のブランドでファッションショーを開いてブランド直営店を経営することを目標にしている人もたくさんいます。

セレクトショップとは?

セレクトショップはさまざまなブランドの品物を集めて販売しているお店です。
ブランドの意志を尊重しつつもショップオーナーの趣味性が強いことが多く、取り扱うブランドはお店によってさまざまです。
お店のコンセプトに合わせて仕入れを行うため、有名ブランドの品物だけを集めたブランディングをしているセレクトショップもあれば、バイヤーやショップ店長が発掘したこれから伸びてくる若手デザイナーのブランドを集めたお店、デニムだけを扱っているお店などもあり、自分の趣味に合うセレクトショップを見つけたらファッションの幅が広がり、新しい発見を楽しめます。

セレクトショップの店員さんはひとつのブランドにも詳しいですが、ジャンル全体に精通している人も多いですよ。
ファッションをカルチャーとして捉えていて、音楽やライフスタイルの提案をしてくれて、会話を楽しみながら洋服を選べる楽しいお店づくりに力を入れているショップもたくさんあります。

 

アパレル販売・ファッション業界が抱えている問題


ファッションデザイナーになる人やアパレル業界で働く人、それから私たち一般の消費者が洋服を購入するときにしっかりと考えなければならないファッションに関する問題を3つご紹介します。

1.国内生産率の圧倒的低さ

経済産業省生活製品課発表の繊維産業の現状と経済産業省の取組によると、2018年の衣料品の輸入浸透率は97.7%と毎年過去最高と更新していて、国内の繊維事業所と製造品出荷額は共に1991年の4分1にまで減少しています。
1991年には全国に存在していた繊維事業所の4分3が事業から撤退せざるをえなくなっている状況なのです。

私たちが洋服を着ない日は1日だってありません。それなのになぜ国内生産率がたったの2.3%なのかというと、その理由はとても単純で、国内ブランドの洋服も日本よりも人件費や工場の維持費等を安くできる海外で生産されているから。

生産コストを下げることを優先しすぎたためにこのような結果になってしまっているのですが、これは企業側だけの責任ではありません。私たち消費者が良いものを安く提供することを求めすぎていることも大きな要因のひとつなのです。

2.供給量過多

1990年の衣類などのアパレル供給量は約20億点程度で、市場規模は15兆円ほどありました。
対して2018年時点では衣類の購入単価・輸入単価は6割程度の水準に落ちていて、市場規模は10兆円程度まで減少しています。約5兆円の減少ですね。
にもかかわらず供給量は40億点にまで倍増しています。

単価の低い洋服が大量生産されているために、点数ばかりが増えてしまったわけです。
しかし、供給量が増えたところでその全てが売れているわけではありません。

3.大量の衣類ロス


日本国内だけでも毎年約29億着の洋服が製造されているのですが、そのうちの半数以上となる15億着は誰にも購入されずに売れ残っていると言われています。
ここにさらに低いコストで作られた海外製の洋服が輸入されているわけですので、もっともったくさんの洋服が破棄されていることになります。

単純に考えると、捨てないで売ればいいのに!と思いますよね。
しかし、いくら値段が安くても流行遅れの洋服やデザインが好みに合わない服は購入したくないと感じるのも仕方のないことです。

「安ければ買う」と考えている人もいるでしょう。アパレルショップでもセールで半額以下で売られている洋服も本当にたくさんあり、消費者としてはありがたい面もあります。

だけど、最大手のブランドのセールはあまり見かけないのではないでしょうか。
ここには、ファッション業界の闇があり、ブランドの価値を下げないため、イメージダウンにならないためにセールで価格を下げることなくそのまま廃棄される服も実は多いのです。

ファッションデザイナーが一生懸命考えた新作デザインの洋服たちが、アパレル倉庫から廃棄工場に直行するなんて悲しすぎますし、資源を無駄使いして廃棄するという仕組みそのものがナンセンスすぎます。

 

DOW?が目指す姿


当然ながらアパレル企業も在庫を抱えたいとは思っていないので、バイヤーは必要枚数を見越して発注をかけます。しかし、それでも売れ残りは発生してしまいます。
売れるかわからない量を作って保管するという現在のシステムを続ける限り、大量の余剰在庫問題は続いてしまうでしょう。

私たちDOW?は、受注された分だけの洋服を製造するというシステムを採用しています。必要な分だけしか作らないので衣類ロスは1枚も生まれないのです。

在庫を抱えることがないため倉庫も不要ですし、在庫管理費用が発生しません。
その分を製造原価に還元していて、販売価格に対して大変高率な製造原価として定めることができています。
この高い製造原価の中には生地代などの洋服の材料費も人件費も含まれています。ファッションデザイナーをはじめとした製造に関わる人たちにも喜ばれ、高品質な洋服を届けることができるためお客様にも喜ばれ、ひいては社会全体が良くなっていく仕組みなのです。

革新的でありながら環境に配慮する生産体制とビジネスでの利益の両立が持続可能となるコーポレートサスティナビリティを、DOW? は提案し続けていきます。